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「蓮姫」
第十一章 迎えた終焉

迎えた終焉 【弐】

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 次の日だった。
 皇眞たちが東宮に乗り込むのは今日の深夜のことだ。

 「………皇眞様」

 皇眞の部屋には、たくさんの本家の重要人物たちが集まっている。
 甲珠と珠愛、そしてその椎名の部下たち。 皇眞が集めた先鋭の刺客。 櫂(かい)、啓(けい)もいる。―――楓有雅(ふうが)は端で見学だ。 その中心にいるのはやはり、皇眞であった。

 「―――皇帝や、同じ特優隊の仲間にはこの事は伝えないのですか?」
櫂がおもむろに言う。
「これは白吹のことだ。 あいつらには伝えん」
最近の皇眞の口調は、蓮に似るようになってきた。 無意識のうちなのか、“当主”になろうと強くなろうと努力しているからなのかは周りの人物には分からなかったが。
 皇眞は言い切って、ふいっとそっぽを向く。 と、そこに慌しく白吹の専属の主治医が入ってきた。 彼もまた、白吹の本家に住まう白吹に護られる者だ。

 「皇眞様!!!」

 血相を変えて、診療や治療の道具を大きな箱ごと持ってくる。
 「皇眞様! 俺は許しませんよ! 今日の夜、決行だなんてっ……白吹の主治医として断固として反対です!!!」
言いながら皇眞の前へと座り、厳しい目を向けてきた。
「……怜楊(れいよう)……」
彼は父と世代交代をしたばかりの二十代後半の若い医師である。 無論、白吹専属のだが。 たまに外来などはしたりするが、ほぼが白吹のための医師だ。
「―――あなた分かってるんですか!!? 腕の貫通した傷だって傷口開いてるし、刀だってまともに握れないでしょう!! あなたは睡眠時間が極端に少ない上に、今までの疲労があります。 旦那様を失った心の傷だって、……あなたはその現場を見たんです。 奥様より傷は深いはずです!!! そのうえ、旦那様の跡を継いで当主の仕事に軍の隊長に、裏をまとめる頭だって……、あなたは一体どのくらい自分を酷使すれば気がすむんですか!!!!!」
声を荒げて、怒号のように言ったそれは全員部下になった本家の者たちに聞かれている。
「知らん」
一言殺気のようなものを含めて、皇眞は呟く。
 ぐっと、怜楊は押し黙るものの―――年下だ、年下だ、と心で呟きながら反駁(はんばく)をした。
 「主治医として、あなたの健康を確認していますが―――臓器はボロボロです。 体のあちこちの内部に痛みがあるでしょう 。それをいつかの怪我のせいだって思ってませんか? ……そんなにボロボロなのに、心臓に負担がかかっていないというほうが、可笑しな話なんです。 ―――皇眞様、俺はあなたを死なせたくはありません」
真摯(しんし)な視線を向けながら、怜楊は言う。
 皇眞は―――周りの表情の色が変わるのを見て、蓮さながらの睨みを利かす。

 「もしかして、怜寅(れいいん)も父様にこんなことを言っていたのか?」

 呆れ口調で、皇眞は呟く。 怜寅とは怜楊の父親だ。
 「なら、父様はこう言っただろうな。 ―――この家の当主は誰だ、お前らの主は誰だ、ってな」
言いながら、蓮と戦いを共にしてきた櫂たちははっと表情は変える。

『この家の、お前らの当主は俺だ。 その俺が何をしようと、自分をどうしようと関係ない。 ―――お前らの主は誰だ?』

確認するように蓮は毎回言った。 俺に逆らうな、俺が俺をどうしようと関係ない。 身体に傷を負ってきたときもそう、庇ったときもそうだった。やはり、皇眞は蓮の血を引いている。
「皇眞様!!」
「―――どうしようと関係ない。 俺の体は完全な健康体だ。 知らん、関係ない、夜に決行だ」
「ですが、皇眞さ―――」
怜楊がまたもや反対しようとした時、びゅっと何かが怜楊の頬の横を飛んでいって後ろの襖にドスッ、と当たる。 見送ったそれを認めると、それはクナイだ。 深々と刺さっている。
「………俺を女だからって嘗(な)めてないか? 女だから死なせたくない、戦いの場に行かせたくない。 だとしたら、ふざけるな。 俺はもう普通の女じゃないんだよ」
 
 今は早朝だ。
 着物はさらしを巻いておらず、女の形のままである。 素肌も見えているが、痛々しいくらいの傷跡が散らばっており、袖から見える手も同様だった。 胸などは一閃された深い跡がひとつある。―――何故死んでいないのかが不思議なくらいの。
 本家の者は女だと昔から知っている者たちだけだし、女と明かした今では普通の光景ではあるが―――異性面の意味もさながら、違う意味でも目をそらしてしまう光景だ。
 
 怜楊は項垂れて、啓に肩を叩かれる。 諦めなさい、そういうことだろう。
 「わたしは白吹蓮の娘だ。 戦いの中で行き、刺客として生きる。 ―――お前たちを護るために生きる。 でも、父様のようにはまだ行かない。 お前が言うように体にボロがでるなら、……お前らにも頑張ってもらわないとな」
すぐにそう言うところも、部下に慕われる要因の一つだ。
「お前らに言う。 ―――きっと、父様も言った。 これは白吹当主の理念なのだから」
皇眞は一息置いて、部下たちを見やった。
 「俺より先に死ぬな。 俺の前で、死のうとするな。 そうしたら、俺はお前らを死んでも庇う。 俺を死なせたくなかったら、お前たちは死ぬ気で生きろ。 分かったな?」
それは正しく蓮の言葉と重なるもので。
 櫂は、涙ぐみながら頷いた。 甲珠や珠愛たち、部下も、全員が頷く。

 「「「御意」」」

 重なった主への返答に紛れ少しだけ涙を誘われた者もいた。

***

 「本当に、皇帝たちに言わなくていいの?」
櫂たちがいなくなったあと、残ったのは―――甲珠、珠愛、そして楓有雅の三人だった。 珠愛の入れてきたお茶を飲みながら、甲珠はそう言う。
「……言わない」
「……皇帝はきっと心配してるよ、君を。 見るからに、分かるしねえ」
甲珠はくすくすと笑った。 
「知らん、これはわたしの問題だ」
「―――…素直じゃないね。 皇眞は」

 ふっと笑った甲珠に、皇眞は笑って、お茶を飲もうとした。
 が、ガチャンと盛大な音を立ててそれが割れる。

 「―――…っごほっ…」
咳き込んだ皇眞は掌に、違和感を覚える。 見下ろした自分の掌には、赤い吐血があった。
「皇……眞!?」
「―――……血、か」
自分の手の平にある、そして机にまで落ちたそれを見て、呟く。 
 だが甲珠と珠愛、楓有雅は血相を変えて皇眞へと近寄った。
 「大丈夫!? す、すぐに怜楊を!! 私、呼んで」
「―――ああ、呼んできて」
甲珠の頷きに、楓有雅も手伝おうと声を上げる。
「お、俺は何を―――っ!」
珠愛が走っていこうとするのを見て、皇眞は口から血を流したまま叫んだ。
「行くな! いい、こっちへ来い」
珠愛を睨みで引き止めて、命令をする。 絶対的な、主としての命令を。
「フウ、タオルを持ってきて。 この紙、捨てて」
皇眞は言いながらその机にあった紙を甲珠へと渡す。 持ってきた楓有雅のタオルで口に拭きながら、ふうと息は吐く。
 ひゅうひゅうと口から音がする。 ずいぶんと自分の体は酷使されていたらしい。

 「―――いいか、“誰にも”話すな」 

 その目は命令ではない色を帯びていた。

 「お願いだ、頼む。 誰にも話すな、病じゃない……きっとストレスだ。 ―――俺には、分かる。 自分の体だから分かる。 だから、話さないでほしい」
甲珠の肩を掴んで、皇眞は呟く。
「―――――夜、…夜に終わる……。 それまで、だから」
「桜姫……」
甲珠は小さく呟く。 その表情は苦しそうに歪んでいる。

 甲珠は皇眞を抱き締めた。
 そして。
 
 「危ない事はしないでよ」

 いや、きっと彼女はするだろう。 それが分かっていても、そう言わざるを得なかった。

***

 少しだけ寝る、皇眞は呟いて死んだように夢の中へと落ちる。
 いつかと同じだと、珠愛は笑んで皇眞を撫でる。 今回は甲珠の腕の中で眠っていた。
 「君は、驚かないあたり……皇帝と桜姫の関係、知ってるらしいね」
甲珠は皇眞の髪を梳きながら、呟く。
「……はい」
「桜姫は普段あまり眠らない。 ―――でも、俺や珠愛の前では安心して、よく眠れるんだって。 それが俺たち、すごく嬉しいんだよ」
「ほんとに嬉しい。 桜姫のことよく知ってるからこそ、嬉しいの。 私たちを信頼してくれてるってことでしょう?」
「だから、……少しの間だけでも桜姫が回復してくれると嬉しいんだけど」
甲珠と珠愛は交互に言いながら、その視線は―――皇眞にだけ、注がれている。 本当に、彼らは皇眞のことをあいしているのだと、楓有雅にも分かった。
 だから、一人で無茶をする皇眞の見ているのはきっと辛いのだろう。

 何を言っても、変わらないと分かっているからこそ。
 
 「君もきっと分かるよ。 ―――だって、もう君だって……皇眞を尊敬してるし、放っておけないでしょ? 崇めちゃうでしょ?」

 苦笑しながら甲珠は言った。
 「はい、……してます」
「凄いわよね、だって……なんでも許せてしまうんだもの」
楓有雅の答えに珠愛も苦笑して頷く。

 「だからどうなったとしても、できることを精一杯やるのよ。 皇眞のためにね」

 関係上、義理の姉になった珠愛の言葉。 甲珠だって、義理の兄である。
 楓有雅はしっかりと頷いて、―――剣を教えてもらっている、不器用で強い命の恩人である師を護ろうと思った。
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~ Comment ~

すいません~!(作者のつぶやき)

十一章、二話目です~!

すいません~!
昨日は私情ながら高宮の誕生日だったりして
更新している時間がありませんでした~!
そして課題やらなんやらで
また少しの間更新が停滞するかもしれません~!泣

申しわけありませんっ!

でも、ちゃんと更新するので気長にお待ちくださいませ~。
たぶん、そんなに日にちはあかないと思います!

本編のほうもあわただしくなってまいりました。
グランディアのほうもそろそろ次のお話を更新しようかなっ
ルシュドとレシアの進展をにやにやしながら見てくださいませ 笑

それでは!
勝手なのですが、忙しくなってしまってすみません!
高宮でした!
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