FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←ひさしぶりに近況報告(ノ)’ω`(ヾ) →蓮に誓う不変 【弐】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
もくじ  3kaku_s_L.png 東の君
もくじ  3kaku_s_L.png セツナ
総もくじ  3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
【ひさしぶりに近況報告(ノ)’ω`(ヾ)】へ  【蓮に誓う不変 【弐】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「蓮姫」
第十二章 蓮に誓う不変

蓮に誓う不変 【壱】

 ←ひさしぶりに近況報告(ノ)’ω`(ヾ) →蓮に誓う不変 【弐】
 皇眞はその書斎へと何の躊躇もなく入った。

 早く会いたくて、声が聞きたくて。みなと同じく不安だったのだろう月夜を安心させたくて。


 突然と現れたその姿に月夜と暁人が驚いたのは言うまでもない。 月夜はただ目を見開いて書類を握り締めていて、暁人は書類と万年筆を落とす。
 約一ヶ月も眠ったままの皇眞だったのだ。 それは驚くに決まっているだろう。
 
 「お、…皇だよな?」

 暁人が呟く。 皇眞は試すような含み笑いで首を傾げる。

 「―――わたしじゃなければ何なんだ」

 クスリ、と笑いながら皇眞は返した。だよな、と暁人は頷いて、朔龍は馬鹿にしたように笑う。
 「暁らしくないわー!」
「驚いただけだろ、ざけんなよ」
そう吐き捨てて、暁人は朔龍を睨んだ。 朔龍はすぐに黙って「はいはい」と視線を逸らす。

 「ちゃんと、目を覚ました」

 皇眞は言いながら、月夜を見やる。
 「―――…さくら」
その呼び名はほぼ素だったと思う。
「主上、お前を名前で呼べないのは不便だ。 こんなときに」
皇眞は笑った。
 月夜は机の向こうからふわりとそれを飛び越えた。 そして、そのまま瞬間移動に近い動きで、一目もふらずに皇眞を掻き抱く。無言で、皇眞の首筋に顔を埋めて。
 皇眞は驚きながらも微かに笑んで、揺るくだが背中を叩いた。 片方は肩を負傷していて、もう片方は掌の傷口がまだ塞がっていない。 どちらもまだ酷いから、利き手である肩を痛めたほうの腕を上げる。
 「不便だな、……お前を慰めてやれない」
「いい、動くな。 ―――…怪我しているだろう」
その姿と声は泣いているようなのに、月夜は皇眞の心配をする。
「―――…生きてるぞ」
呟くと、月夜は無言で抱き締める力を強くした。だが、ちゃんと負傷している部分に負担をかけないように、そこだけ外して腕を回している。

 まるで生きているか―――ちゃんと心臓が鼓動を打っているか―――確かめるように、強いままだった。

 「ああ、……分かってる。 ただ、分かっているのに不安なことはあるだろう」
「そう、だな」

 それはその分、目の前の彼が自分を想っているということだ。
 月夜の呟きに、皇眞は少しだけ顔を歪めた。
 皇眞が眠っていたとき―――生きていると分かっているのに一向に目を覚ますことのない皇眞を見て、どれだけ月夜が不安だったのか悟る。
 いなくなるのが、どれほど怖いか。
 あの東宮と対峙していたときに助けに来てくれたとき、言った。
 皇眞がいなければ生きてゆけないと。 それがどんなに大げさな言葉だったとしても、それは愛というものの大きさなのだから、それさえも尊いものだと思える。
 
 「すまない」

 素直に謝る。月夜は小さく頷いて、少しだけ皇眞との間を空けた。

 「聞きたいことあるんだが、いいですかね、主上」
暁人が険しい表情をしながら、月夜とそして皇眞を見やる。
「ああ、俺も話そうと思っていた」
「じゃあ遠慮なく言わせてもらいますけど、―――いつから、皇眞とそういう関係に……?」
「ええっ!? やっぱり恋人だったん?!?」
暁人の言葉に誰よりも早く反応したのは、月夜でもなく皇眞でもなく朔龍だった。
「お前鈍いのもほどがあんぞ。 話が面倒になっから黙って見てろ」
呆れながら暁人は朔龍を一瞥すると、答えを急かすように月夜に視界を戻す。

 「結構前だな」

 なんともまた曖昧な呟きを月夜は返す。
 大人しく黙っている皇眞も珍しすぎるくらいの光景だが、その彼女の隣に座る月夜の姿も珍しい。 未だに月夜の本当の名前は暁人も朔龍も知らないため、彼らからすると―――皇帝らしからぬ行動を彼はしているわけである。
 「……付き合っている、ということは認めるんですね?」
「じゃなかったらあんな事を言う馬鹿がいるか」
平然と恥ずかしげもなく言える月夜が凄い。内心思いながら、皇眞は男たちの成り行きを黙って見守った。
「これからどうなるか予想はついているんですよね、ちゃんと考えてるんですよね」
まだ追求する暁人は―――なんだか本当に仕事の補佐みたいだ。 いや、ちゃんと補佐なのだが。
「皇眞次第だ」
その言葉に、月夜は簡潔に言った。 
 「このことに関しては、暁たちが心配することは何もない。 気持ちははっきりしていると自覚できたし、自分たちでちゃんとやっていく」
皇眞はそう助け舟を出して、「だろ?」と近くの月夜を見る。
「あぁ、そうだな」
月夜の言葉に頷くと、皇眞は暁人を見上げた。
「だとしたら何だ? わたしたちの力量が心配だと言っているのか」
 皇帝である月夜と、白吹の当主である皇眞。 そういう解決策の力量がないなんて言えるわけがない。 いやむしろ、そういう口舌を使った話し合いでは、月夜は不明だが、皇眞に敵う者なんていないと暁人は思う。
 「そんなことねえけど」
「なら心配ない! この事はもう終わり」
断固として言った皇眞の言葉に、もう追求する雰囲気ではなくなり暁人も朔龍も深いところまで探りを入れることは出来なかった。
「――この事は、わたしと主上の事情だ。――心配しなくていい暁」
皇眞の言葉に暁人はあきらめたように頷いた。

 そして、皇眞は月夜を見やる。

 ここへ来た本当の理由だった。

***


 「―――主上」

 皇眞は月夜の職の名を呼んだ。そうして、直入に口にする。


 「―――黒炎の説明をしてもらいんだ」


 その言葉に月夜の顔が翳る。
「何があっても、わたしは平気だ。お前を好きで、信じてる。 だから、話してくれ」
皇眞は力強い言葉でそう言った。月夜は少しだけ口角を吊り上げて、ため息を長くつく。どうあっても引かないと分かっているようで、そうして月夜もまた話す心の準備をしていたのだろう。
 すんなりと口を割ってくれる。


 「この国の遠く離れているが隣にある別世界のような……国は知ってるな?」


 月夜は唐突に言う。
 その国は、国というよりかは世界のようにでかいものだ。 いや、本当に世界なのかもしれない。 そこで一番有名な大国がノースという異文化の国だ。
 不可侵条約を結んでおり、戦争は以前と回避されているのだが。
 「そこには人間じゃない種族がいる」
その呟きに、皇眞は首をかしげた。
「それがお前……?」
怪訝そうに呟いた皇眞に、月夜は少し笑んでその手を皇眞のこめかみに回す。
「そうだ」
その雰囲気はまさしく恋人だったが、話している内容があまりにも重い。暁人も朔龍も、ふたりの甘さに言いたいことは山々だったが、やはり言える雰囲気ではなかった。

 「だが、その種族にも二ついる。 武器になれる存在である刃人(はじん)という種族と、人間でありながら刃人の力を持ち、武器にもなれる……簡単に言えば、刃人と人間の両方を持つ種族、混血(こんけつ)がいる」

 その人智を離れすぎている話に皇眞も、そして暁人も朔龍も耳を疑った。
 本当に、そんな存在いるのか、と。

 「俺はその混血の血を継ぐ者にあたる」

 “混血”ではなく、“混血の血を継ぐ者”と月夜は言う。 そして、そのまま続けた。

 「かつて、あちらの国で裏切り者というレッテルを貼られた混血がいた。 ―――何故かは知らんが、混血は 王族に限られる数の希少な存在らしくてな……その混血は男だったが、王族から追放された。 命を追われる者となった男は、あちらの国の女とやっとの思いで逃げおおせて、この地へと来て生涯を誓い合った。 その男は、もと王族ということもあり人を束ねる力に長けていて国を作った。―――それがこの国、柚蓮だ」

 その神話のような話は、皇帝から代々受け継がれる話なのだと月夜はその後に囁く。

 「もとの混血の血が人間との交配によってどんどん薄まっているのは確かだ。 最近になれば、力なんてほぼ使えないのが常らしいが、たまにいるらしい。 俺みたいに、血が強く力が跳ね上がる奴が。 過去にも数人いたと過去の書物には書いてあった。――俗に言う先祖返りというやつだ」
月夜は言いながら目を瞑った。 再び開いた時には、瞳は赤黒く変わっていてまたあの時みたいに、不規則に翼が創られ始めた。炎が創っているそれはゆらゆらと常に揺らめいていて、不気味なほど綺麗だった。

 「王族のくせに、その女と恋に落ちたのが追われる原因だったらしい。 よくある身分違いの恋だったが、過去ではそれさえも処罰ものだったようだ。 その時代では、まだいろいろと偏見もあったのだろう。 女を護る最中、男の力は護ることだけに特化した。 その念は呪縛のように子孫へと繋がって、力も……その男のものをこうやって受け継いでいる」
黒いがそれは炎であることには変わりなかった。物が燃えそうになっているし、今燃えていないのはどこにも当たっていないからだ。 
「皇眞! 危ないって!!」
朔龍がそういうのも分かる。 暁人と朔龍はその炎から遠ざかるように一歩退却していた。


 「この炎は、力を持った男の一番愛したその女には無害だった。 燃えることもなく、怪我をすることもなく、その女を外の敵から延々と護った。―――だから、俺もそうだ。お前なら、この炎は熱くない」


 月夜はそう言う。 その不敵な笑みは皇眞の心臓を跳ね上がらせるのには十分なものだった。

 皇眞は焦がれたように月夜の後ろへと手を伸ばす。 片方の腕は月夜の首へと回して、もう片方を伸ばした。 ズキズキと痛む肩は我慢することにする。

 黒炎に触れると、月夜の言ったとおりそれは熱くない。

 それが、月夜が一番自分を愛しているという証拠になる。


 「―――すき」


 ぎゅう、と月夜を抱き締めて皇眞は彼にしか聞こえないような声で囁いた。 本当に零れてしまったような呟きだった。
 一瞬だけだが―――一見怖い顔の月夜は本当に嬉しそうに笑む。心を心底するしたようなそれ。
 その笑顔を偶然にも見られたのは、朔龍だけだった。 その笑みを見て、朔龍は唖然として、声が出ないというのはこういうことなのだと実感する。 そして次の言葉に、また色々な意味で堕とされることになる。












 「俺はそれ以上だが」

 甘く、甘く囁いた言葉は、皇眞を酷く赤面させるのには十分だった。
関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
総もくじ 3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
もくじ  3kaku_s_L.png 東の君
もくじ  3kaku_s_L.png セツナ
総もくじ  3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
【ひさしぶりに近況報告(ノ)’ω`(ヾ)】へ  【蓮に誓う不変 【弐】】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ひさしぶりに近況報告(ノ)’ω`(ヾ)】へ
  • 【蓮に誓う不変 【弐】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。