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「グランディア国物語」
Chapter3 わたしを繋ぐ声<ルシュド編>

期限あるこの命も*

 ←暁人side 万年蝋の姫 ~【終】~ →総もくじについて!
 壁に頭を打ち付けられるような痛みがずっと続く。それは度を越すほど酷いものになって、立っていることさえままならない。気を張っていないと、すぐに崩れ落ちそうになるほど意識は朦朧とする。
 そんなわたしの悪化した体調を分かっているかのように、ルシュドはベッドに運んでくれた。
 水を入れてわたしの背を支えるように起こす。

 【無理をするな、本当は……遠征なんて苦痛以外の何物でもなかっただろう】

 もう分かっているとでも言いたげに決めつけられた言葉でも、言い返すことは出来なかった。実際その通りだ、歩くのさえ限界に近かった。毎日頭痛はするし、それを抑える方法をわたしは知らない。

 【人間で最後の日、……お前がしたいことはあるか】
「―――わからないな、そんなこととっさに言われても」
【〝栄〟になったら、お前は精霊に近い存在として……人間ではなくなる。……お前の残り少ない生きる糧もそれで補われる。普通なら数百年と生きるが……お前の場合は人間の年齢と同じだろう。予測だがな。……前例がないから何とも言えない】
「あぁ、分かっている、平気だ」
わたしが眠っているベッドの脇に座ったルシュドはわたしの髪を撫でながら言葉を続ける。
【……だが、〝栄〟として死んだあと……サラとの契約を執行される。お前は酷な人生を送る……、だが俺らはそれが嬉しくて仕方がない】

 精霊とは、そういう生物だ。

 それはわたしにも分かっている。

 愛しいと思う感情が、大事にしたいと思う感情が―――これと決めた主にしか向かないのだから―――その愛は、時に大きくそして歪になる。それでも精霊使いたちもきっと分かっているはずだ。
 そんな彼らと共存することを望んだのだから。
 そしてその願いはきっと―――歪んでいるものだったり、本当ならば叶えられないものなのだから。

 「平気、みんなは……ルシュドは、……わたしを愛してくれている。―――分かっている、痛いほど、ちゃんと分かっている」

 そうでなければ、わたしは今こんな風にして笑ってはいられないだろう。
 生きてなどこれなかっただろう。

 だから、わたしはいいのだ。

 この期限がある命でも、十分に幸せに生きてこれた。幸せという言葉に縁遠いと思っていても、結果的、ルシュドや軍の仲間と暮らしきた日々は楽しいものだった。家での境遇は何とも言えないが、それも最近では―――エメロットの家に住むことなり、父様も理解してくれた。
 そうだ、十分幸せじゃないか。

 「二つ目の人生だな、……―――いいんだ、だから、この命が終わっても」

 〝レシア〟というわたしがいなくなったとしても―――それでいい。


 「だから、な、ルシュ……わたしをお前の〝栄(もの)〟にしてくれ」


 わたしの命が終わる前に、手遅れなんて言ったら呪ってやる。ぽつりと悪態をつくと、くっとルシュドは笑う。


 【ああ、してやる。早く俺のものになれ】


 甘い甘い言葉が降ってきて、ルシュドと唇が重なった。

*・*・*

 
 暗闇が辺りを覆う。
 わたしたちには安心する暗さだ。

 まだ日が出ている時間なのに、カーテンを全開に締めてわざと真っ暗にしている。カーテンの隙間から微かに入る日差しが真っ暗な部屋を時々照らした。
 ベッドに座るわたしを、ゆるりと一撫でして服を脱いでいく。血で真っ赤な服を脱ぎ捨てて、たくましい上半身が見えた。見慣れてしまったけど、ルシュドはもともと人離れするくらいに美しいひと。免疫のついていない人ならきっとすぐに赤面して目を逸らしてしまうくらいの。失神も大いに可能性があるだろう。
 意識をしていない幼い頃からそばにいたからわたしはそんなことはないけれど、それでもルシュドの美しさは十分に理解できる。

 服を脱いだ上半身には、痛々しいくらいの真っ赤な傷痕が見えた。治りかけの酷い刀痕。こんな状況には不釣合いな、傷だらけのお互いの身体(からだ)。

 【どうした】
「………傷、が」

 肩から腹部にかけて斬られたそれはサラの力によって少しだけ緩和されている。それでも、痛々しい。


 【大丈夫だ】

 ルシュドの手がわたしの後頭部に回されて、深く甘い口づけをされる。

 「ん、……か、肩は、平気か?」
【ああ、今血は止まった。気にするな】
「でも、包帯……」
【大丈夫だ、それよりお前と】

 ベッドに膝を乗せて、わたしを引き寄せた。
 ルシュドはふっと笑って、髪を撫ぜる。

 再度ルシュドは噛みつくようなキスをして、吐息を零したあと、ゆっくりと唇を撫でた。

 【いい、な?】
 「いい、お前なら、全部、やる」
 【お前は俺に甘いな、こんな状況にもなってそんなこと言うのはよせ】
 「お前も、わたしに甘い……」

 【ああ、甘い。―――これからすることもな、いろいろ許されている】
「許しても、いるから」
【―――】

 わたしの言葉に妖しい不敵な笑みを零して、すうっと腹のくびれをなぞる。
 さっきまで戦っていた服をビリビリに破いて、ほぼ素肌なのはわたしも同じだった。

 【……拭いてやる、大人しくしてろ】

 ベッドから降りて、濡れたタオルを持ってきた。外套を取って、腕を拭かれる。黙ってルシュドを見つめていると、ルシュドがふっと笑った。
【何だ】
「そんなに尽くす奴だったのか、いつもはいろいろなひとを貶(けな)してるのに」
くすっと笑うと、ルシュドもつられるようにふっと笑った。


 【……お前だけだ】


 その言葉にびくっとして、ルシュドを見やった。
 心臓がどくんと鳴る。
 ああ、わたしはルシュドが好きだ。大好きだ。愛している、おかしいくらいに好きだ。


 肌を布で拭われて、目を瞑る。
 ルシュドが甘く笑んだのが分かった。
 空気が変わる。
 わたしの心臓を持っていくように、ルシュドの手が誘った。布を床へと投げ捨てて、顎に手を添えられて軽く上げられる。


 【……シア】


 普段のルシュドからは想像もつかないルシュドの声音が降る。わたしを愛しいと言っているような掠れた切ない声。耳から入り込んでくる声音はわ
たしの脳を焼いて、胸がずくりと疼く。

 ちゅ、と音がするような甘いキス。そのまま角度を変えて、何度も何度もキスを繰り返す。触れるだけのキスなのに、何故こんなにも妖しく感じる
のか。だんだんと深くなっていき、貪欲に貪るようになるそれに翻弄される。
 ドクドクと心臓が鳴って、耳鳴りが五月蠅い。
 
 【薬、……ほら】
「ん、ふ……」

 舌が入り込んできて喉の奥に薬を押し込まれる。

 「……く、すり?」
【サラが作ったものだ、頭痛がするんだろう?……すぐに痛くなくなる】
とさっと静かにベッドに倒されて、わたしはそこに沈む。とさっという音が静かな空気の中に消えていって、目の前にはルシュドの緩やかな笑みしか
見えない。いつから、わたしが頭痛を抱えていたのだと気づいていたのだろうか。ルシュドはわたしのことをよく見ている。本当に、たったひとつのこ
とさえ見逃さないくらいに。
【……ひたすら優しくしてやる、心配はするなよ】
不敵に笑んだ笑みすら、優しく感じてしまうのだからわたしはもうきっと―――全てが囚われているのだろう。

*・*・*

 口付けが降ってきて、唇が深く重なる。
 重ね合わせた唇の隙間から漏れる声は、自分でも驚くほどに色っぽいものに変わっていく。

 【お前が人である最初で最後の交わりだな】

 少しだけ寂しそうに、だが恥ずかしげもなくはっきりと言葉にしたルシュドにわたしはきょとんとしてからかっと顔を赤くした。
 熱い、異様に。
 ルシュドが堂々としすぎているからなのか。

 「終、わり……」
【……お前が〝人〟ではなくなるからな。〝栄〟は人であって、人ではない。精霊に近い存在になるから、だが精霊でもない】
眉を寄せて、甘い口付けを送りながらルシュドは言う。
 そうさせることを悔やむような声音、彼は今も若干の後悔を背負っているのだろうか。
「何度も言うが……わたしは、平気だぞ。……何が変わるのかなんて、わたしには分からないしな」
【感覚は変わる。……また違う意味でいいかもしれないがな。人のように新鮮な感覚は与えられないと思う】
「何か、生々しい……」
【まあ、その時になったら分かる】
ふっと笑ったルシュドはまた食むようなキスを繰り返した。

 「……はっ…ぁ」

 息を吸うために微かに開けた唇に舌が入り込んできて、舌を絡みとられる。逃げることも許されないように舐められて吸われる。歯列を撫ぜるよう
に舌は伝って上あごもゆるりと撫でられた。
「ん……っんぅ」
【―――は、…シア】
「…ん」
【―――】
じゅっと舌全体を食まれるようにして吸われた。ぞくりと身体が甘く痺れて思考がうやむやになっていく。
 またルシュド特有のふっとした笑みをされるのが分かった。未だに口内を蹂躙し続けるルシュドの口づけがもっと深くなる。びくっと身体を揺らし
たのが彼にも分かったのか、優しく髪を撫ぜられた。その髪を掻き乱すかのような撫で方すら官能的でぞくりとする。
 唾液を送られるように深く唇は重なって、わたしが嚥下するまで唇を解放されることはなかった。こくりと喉を鳴らすと満足そうにルシュドは口端
を上げて、唇をようやく離してくれる。

 「―――はぁっ……ぁ」

 飲み下すことのできなかったそれが口端からこぼれ、それをルシュドが拭ってまた妖艶に笑んだ。


 すぐにルシュドの唇は首筋に降りてきてゆっくりと下へと降りてくる。あくまで緩慢に、びりびりと甘い感覚が身体を貫いてゆく。たまに甘噛みさ
れて、小さな痛みが何度も走る。下着をいつの間にか取り払われて、それすらも気づかなかったわたしはどうやら緊張しているのか、頭が真っ白にな
っているらしい。

 「……っぁ」

 胸に舌が這って、条件反射のように身をひねってベッドへとうつ伏せになった。

 【……っふ】

 頭上で笑うルシュドの声が聞こえる。
 きっと世の女なら誰もが失神するくらいの不敵な笑みを浮かべているんだろう。

 ゆっくりと彼の指が腹部のラインを下から上へとなぞられてきて後ろから抱きしめられるような形になる。

 「……あ!…やめ……!」
【ならこっちを向いたらどうだ】
「嫌だ……っ」
【俺はどちらでもいいがな】

 片手で腰を引き寄せられ、もう片方の手が胸を柔らかく覆った。その指が先端に触れて、あられもなく感覚を引き出してくる。

 「ぁあっ……やめ、ッ」

 与えられる感覚に声を上げることしかできず、目を瞑ってベッドへと顔を押し付けた。
 耳が甘噛みされて、舌が伝う音が直接的に耳の奥に響く。ぎゅっと瞑った目は逆に視界を奪って、感覚を研ぎ澄ませて逆効果になると今更気
づいた。その間も、胸に与えられる甘い感覚は収まることを知らず、抵抗を試みても、弱いところを責められて力がなくなっていき、身動きが取れなくなってしまう。

 「や、め……て……っぁ、う」

 【―――――――ん】

 わたしの言葉に、名残惜しそうにルシュドの手は上から去っていく。そこからゆっくりと腹部のほうに下がって、ルシュドの舌も耳からうなじへと
下がっていった。

 「―――っあ、ぁ!」

 うなじに舌が伝った瞬間、びくっと身体が痙攣する。くすっとルシュドが楽しいものを見つけたかのように笑う。

 【弱いのか】
「―――――――――っっ?!」

 そんなことをわたし自身が知るはずもなく、そうなのかと思う反面羞恥の気持ちが芽生える。だが、そう思っているときにはもう遅く、嬲るように
舌が攻めてくる。うなじから首筋まで何でも舌が這って、強く吸われる。何度もそれを繰り返されて時には甘噛みをされる。
 わたしはそれが弱いらしく、何度もびくびくと肩を揺らし続けた。胸や何やらとは比べ物にならないくらいの感覚が襲って、自分でも驚くほどだ。
 ルシュドはさらに楽しそうに舌をゆっくりと這わせる。

 「ああぁっ……、や、……あ、ァっ」

 感じてしまう。鳥肌すら立ちそうな感覚にぎゅっとシーツを掴んだまま、手に力を籠めて耐えた。

 「あっ……ッん」

 背中に舌が張ってもわたしの弱い部分は継続するらしく、自分でもびっくりするくらいの高い声を上げた。
 声を我慢するために唇を噛んだが、目ざとく気付いたルシュドが後ろから指を口の中へと入れてくる。

 【噛むな】
「ふ……」
【俺の指なら噛んでもいいぞ】
「……ふ、…ぁ」
彼がゆるりと笑むのが分かった。抵抗と否定を込めて首を左右に振る。ルシュドはわたしがそんなことを自分の意思でできるはずもないということを分かりきって言っているのだ。そうすれば、わたしは唇を噛むこともないともちろん彼は知っている。
 なんだかそれが憎たらしく、ある意味わたしのことをちゃんと分かっている彼だ。
 口内も指に蹂躙されて、びっくりするくらいに小さな感覚も拾い上げるようになった身体は―――終始自身の意思も受けずにルシュドになすがまま
だった。

 自由に動き回るルシュドの片方の手がゆっくりと脚の付け根へと移動していく。
 びくっと身体を強張らせると、首筋、耳元と甘い口づけが降ってきた。

 【シア】

 名前だけ呼ばれるも安堵を連れてくるその低く掠れた声で緊張が緩む。

 「―――――――んっ……ぁ」

 水に濡れた音が響いて耳を塞ぎたくなるくらいの羞恥で顔が熱くなる。耳元でふっと笑われた、何も言わないくせに何もかも悟って分かっているよ
うな笑みがさらに羞恥を呼んで、心臓がバクバクと五月蠅く鳴る。きっと、分かっているようなではなく、分かっているのだろう。わたしが緊張して
いることも、ルシュドの愛撫を拾い上げていたことも。
 労わるようなキスが、弱い首筋部分に何度も降る。
 労わるならそこへのキスはやめてくれ、と思うが―――そんなことも口にできる状況ではない。
 未だ楽しそうに耳の裏に舌を這わせながら、指が深く沈んでいく。弱いところをくすぐられ、声を上げさせるような動きをする。

 「ふッ……ぁあ…っ」
 【恥じることないだろ、どうせ二人しかいないんだ】

 耳元で甘く掠れたルシュドの声がした。

 【まあ、お前は俺を傷つけることはできないからな。そんなことは関係ない、か】

 声を抑えようとルシュドの指を噛むこともできない。ルシュドを傷つけたくない、というのは無意識のうちに刷り込まれたようなもの。好きだから、大切だから、理由はいろいろなところにあるが、自分から彼を傷つけようなんて考えは塵ほども出てこない。
 こんな状況になっても。
 だから、声を抑えるためにルシュドの指は噛めないのだ。だから、声は否応なく発せられる。彼が言っているのはそういうことだ。

 「―――んっんん」

 ぐいっと口内に指が入り込んできて、目を瞑る。それと同時に奥を探っていた指も深く入りこんできた。指の腹で深くを強く擦られるようにされて、―――頭が真っ白になり高い悲鳴を上げ、痙攣する。ぐったりとしたわたしの身体を抱えて、ルシュドは抱き起こしてわたしを仰向けにさせた。
 わたしの口から指を抜いて、その指を自分の口元へと持っていき舌を這わせている。そんな彼を赤面しながら唖然と見つめていると、ふっと笑みながらキスをしてくる。

 ――――――忌々しいくらいに優しいものだから嫌だ。

 「や、め……!―――――ッあ」

 そして、ルシュドが脚の付け根に唇を寄せて、舌で刺激を与えてくる。
 突然の刺激に肩を震わせて硬直したわたしを尻目にもっと深く嬲ってきた。

 「あ、っァ」
【大人しくしていろ、痛くてもいいのか】
「い、痛い?!」
【知ってるだろうが、……慣らさないと痛いぞ。―――痛くてもいいなら俺は一向に構わないが」
「―――」

 痛いのはやめてほしいが、それを緩和するために羞恥に耐えるのもどうかと思う。天秤にはかるには難しすぎる気がする。
 考えていると、また甘い刺激が与えられた。
 花を丁寧に舐められて甘噛みされて、たまに強く吸われてびくりと身体が跳ねる。何度も繰り返されるうちに、考える力などとうに砕け散って身体
に力が入らなくなってきた。ただ与えられる感覚を否応なく享受して、でもそれがルシュドだからいいかと安直な考えさえ浮かんでくる。
 「あぁッ……、んっ…ア」
 耳を侵す水音が酷くなって、深く浅く彼の舌がそこを行き来した。
 丁寧にだが執拗に舌が這って、強い刺激を与えてきた。ろくに働かない思考が甘い感覚の中に落ちてしまっている。自分がどんな状況かさえももう考えられない。

 「―――だ、め……ぁ、や……っ」

 何かが身体の奥からせり上がってくるような感覚に襲われる。

 【……ん、シア……そのままでいい】
 「あ、ぁ……ッ」
 こんなになっても優しいルシュドの声音が耳を焼いた。そしてルシュドが花を甘く食んで歯を立てる。びくっと身体が痙攣して頭が真っ白になって、身体が弛緩した。

ただ思考の端で分かったことは―――ルシュドがわたしに覆いかぶさってきたこと、喰いつくすような口づけを送ってきたこと、下腹部に痛みが走ったことだった。

 「―――んんん……っ」

 【……は…、もう少しだ、痛いだろうな、すまない】

 唇を離したルシュドがわたしの髪の毛を梳くようにしてゆっくりと撫でて、背中もさすってくる。ありえないところから考えられない痛みが襲って
きて、眉を顰めて呻く。

 「い、た……っぅ」
 【もう少しだ、シア】

 ルシュドが腰を進めてきて、痛みに引きつられるように身体が痙攣した。

 【シア】

 ひたすらに低く掠れた声が甘くわたしの名前を呼んで、ルシュドの指が首筋をゆっくりと伝う。痛みを紛らわすように甘い痺れを与えてくる。どう
やらわたしの意識を痛みからまぎらわそうと、首筋を責めはじめたらしい。
 ルシュドの舌が首筋を張って、指がうなじを撫でて首の後ろを這う。

 「―――ぁあっ……ぁ」
【落ち着いたか、……痛みは?】
「……わ、からないっ……ん」
【最初で最後だ、……俺もそろそろ止まっているだけ限界だ。……だが、もう少し待ってやる】

 苦笑するようにルシュドは言って、わたしの髪を撫でつける。人として、最後の交わり。それが意味を成すことはもう契約をした時から分かっている。

「―――っ、何、待て……っん」

【そろそろか、……〝栄〟になるために肌を重ねるのに、何もないわけがないだろう】

 当たり前のようにルシュドがふっと笑った。
 身体の中に熱い何かが巡るような感覚。―――きっとこれは闇の力だ、ルシュドのもつ闇の精霊としての力、そしてそれがわたしの中へと巡ってく
る。証の部分が熱くなってきて、黒い証が肌の上に浮かんだ。そこから、証は蔓のように伸びて両肩まで行き、両方の手めがけて降りてゆく。手首の
あたりでその蔓は止まって腕輪のようにぐるりと手首を一周して終わる。
 腕に伸びた蔓は花のようなものまで咲いて綺麗なかたちだ。ただその色は闇色の黒。
 腕輪のように手首に一周した紋章は、右は綺麗な装飾と翼が描かれている。左にも同様の装飾が浮かんでいた。

 「――――――っッあ、……く…っ」

 一瞬心臓が止まるかと思うくらいに脈打つ。目の前にいるルシュドも歯を食いしばるように呻いて、わたしの顔の横についていた手をがくんと下げ
て、肘をついた。

 【―――……っう…】
「大丈夫、かっ、ルシュ……」
【……〝栄〟の伝説……繁栄は、違う意味もあったらしい……。待っていろ、……お前が精霊に近い存在として身体が補われるのもそうだが……俺の力も増大するらしい……、酷い、逆流している】
痛そうに呻いて、ルシュドが息を吐く。

 気づけばルシュドの身体もわたしと同じように熱い。
 火に内側から焼かれているような感覚だ。
 お互いがお互いに、通常通りでいられるくらいの時間が経過して―――互いに視線が交わった。

 【大丈夫か、シア……】
「ルシュ、も」
【……ああ、治まった】
「わたしも熱いのはなくなった、痛みも、消えた」
【そうか、なら―――そろそろ再開するぞ】


 また最初に見せた不敵な笑みを浮かべてルシュドはわたしのこめかみにキスをして、動き始めた。
 潤ったそこは鮮明にその圧迫感を伝えて、甘い刺激を与えてくる。奥深くまで抉るようにして弱いところを突いてくるルシュドに何も考えられずに声を上げた。
「あ……っん、だめッ……」
 卑猥なほどの情交の音は霧散した思考では聞き取れずに、泣きながらそれだけを口走る。
【ここが、感じるのか】
「―――ッ!!!」
目を眇めたルシュドがそう甘く囁いて密着するように抱き込んできた。

*・*・*

 甘い蠕動。


 甘い衝撃が襲う。


 交わる吐息。


 伝う汗。


 熱い視線。


 掠れる声。


 握る掌。


 人としての終わり。


 真っ白になる思考。


 目が眩む。


 「――ぁアっ……!」


 限りあるこの命も、少しは誇らしく愛おしく生きることが出来たか。


 次に目覚めるときは、もう〝人〟ではないのだろう。


 わたしはそこで完全に意識を落として、ぐったりとベッドに沈んだ。

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~ Comment ~

ご無沙汰しております

いろいろいろいろ、用事も終わりいざこざの問題も片付きましたので、
また再開させていただきます。
連絡できるような状態ではなかったので、放置して申し訳ありませんが、
ちゃんと再開いたしますよ。

再開後、いっぱつめは
グランディア国物語です。

そしてセツナはそっと下げさせていただきます。
すいません。
けど、読んでいるひといないと思うので大丈夫ですよね!(キリッ

この時点、このやろう!と思ったかたすいません。
心の中で土下座します←

ですが、グランディア国物語をがんばっていきたいと思いますうううう
どうか許してくださいませえええ(とか言っても読んでいるかたはきっと少ない)


それでは数少ない読者様、またのお越しをお待ちしてますううう。


管理人高宮でした。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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