FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←エメロット編変更~! →永遠を誓うのだ。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
もくじ  3kaku_s_L.png 東の君
もくじ  3kaku_s_L.png セツナ
総もくじ  3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
【エメロット編変更~!】へ  【永遠を誓うのだ。】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「グランディア国物語」
Chapter3 わたしを繋ぐ声<ルシュド編>

その声に導かれ、

 ←エメロット編変更~! →永遠を誓うのだ。

 【シア、――奴が来た。お前をここに置いてはおけない。俺と共に来い】

 険しい顔のルシュドが、わたしの腕を掴みながら立たせる。
 部屋の中、忙しなく反撃の準備をするルシュドに「軽装をしろ」と言われるままに服を着替えた。
 まだ昼間だ。予想としていた深夜の襲撃ではなく、昼間ということも驚いたが――闇の眷属であるルイカも、悪条件というのは同じであろう。

 「来たのか?」
【この城まではきていない。今、味方についている精霊たちが総出で応戦している。以前のときのように、屍もどきのはぐれ精霊たちを従えて操っているらしい】
悪趣味だ、と罵りながら、黒衣の軍服のような姿をしたルシュドが手を差し出してくる。
【お前は護る、必ずだ】
「そんなの、わかっている。――お前のそばにいたい」
差し出された手を取って、微笑む。

 これから待ち受ける戦いがどんな風になっても、――大丈夫だ。
 覚悟はできている。
 けれど、絶対に勝つ。

 【そうだな、】
心を読んでいたのか、ルシュドがそう頷いた。
「だろう?――ルシュドについていく。……平気だ」

 そう微笑むと、抱きしめられてついで流れるように口づけが降ってくる。ゆっくりと隙間から舌が入り込んできて、深く交わって離れた。

 【あの男を討つ】

 短く、覚悟を囁いたルシュドに腕を引かれるまま部屋をあとにする。
 廊下では、サラとフィリップが待っていた。ふたりも護衛としてつくらしい。

 【準備できたな?とっとと行くぞ】
フィリップの急かす言葉に、わたしもルシュドも頷いた。

*・*・*

 外に出ると、そこはもう悲惨と言える状況で――敵味方が争い、伏した味方たち、薙ぎ倒された敵があちこちにいた。

 「もう………!」

 ルシュドの背の後ろでそう口走る。

 異臭のする異形の生物たちがゆらゆらと牙や刃を見せながら、こちらへ歩いてきた。

 【薙ぎ倒す、このまま行くぞ】

 闇の力を周囲を放ったルシュド。一瞬にして異形のものたちは消え去る。――はじめて、目の当たりにした気がする。わたしという名の〝栄〟を手にしたルシュドの強さを。
【大丈夫だ】
抱いていた恐怖を払うような力強い声が聞こえる。
【少し、手こずるかもしれないが……相手ではない。お前を護るこの力はお前が俺にくれた力だ】
髪をくしゃりと撫でたルシュドが余裕さえ醸すような微笑みのまま、そう言った。

 【お前は俺のそばで事の顛末を見届けるだけで、いい】

 彼がそういうと言うことは――きっとそうなのだろう。

 もう、――始まる前から決着はついているのだ。きっと。

 奥に進み、森の中に入ると――空間が捻じ曲がるような気さえする重く暗い雰囲気が漂っていた。いたるところに湧き出るように、かたちをなくした精霊たちが並び、異臭がする。
【――だめだな、これは】
小さく呟いたフィリップが風を吹かせ、わたしたちの周囲を護ってくれる。匂いがこないように防いでくれたらしい。
【いた……】
次いで低い声で後ろにいたサラが囁いた。――彼の姿も子供ではなくもとの大人の姿だ。

 サラの言葉に、ルシュドの背中から顔を覗かせると――異形のものたちの中心に、一際目立つ美しさの精霊が立っていた。わたしを一度襲った、男だ。

 【ずいぶんと殺気立った力を持っているね。レシアを貪って力を得たということかな】
【負け惜しみにしか聞こえないが?】
ルイカの言葉にそう返したルシュドが、再度わたしを自らの背中に隠す。
【お前たちは周りの雑魚だ】
【りょーかい!】
【わかった】
そのルシュドの言葉に、フィリップとサラはわたしにアイコンタクトを取ったのち、左右に走っていく。彼らほどの実力があれば、周囲のはぐれ精霊たちは任せても大丈夫なのだろう。

 【お前には散々世話になった。――レシアに手を出したことは最優先で許したがたいが、俺は自らの立場としてもお前を許すわけにはいかなくなっている】
【へえ】

 決着は、つく。

 きっと、すぐに。

 【逃げる可能性などない距離で的確に仕留める。――近づくが、お前はあいつのそばによるな。黒狼とともにここにいろ】
【わかった。……気を、つけて】

 その囁きに、ルシュドはふっと微笑んで髪を撫でてくる。闇をつくりだして、大きな黒狼がわたしのそばへ降り立つと、満足したように踵を返して――その瞬間、戦闘は始まった。

*・*・*

 闇が火花を散らしたように周囲に飛び散り、それがはぐれ精霊たちを消し去る。
 ルシュドは自分がつくりだした黒い剣でルイカに斬りかかり、それと同時に凄まじい威力の攻撃をぶつけている。余裕そうに笑んでいたルイカが一瞬にして、険しい表情になりよけきれないの受け身を取った。
【遅い】
その一言の瞬間ルイカの存在が掻き消えるほどの黒い闇が辺りを覆い、――あとから、至近距離で容赦なくルシュドが闇を当てたのだとわかった。その瞬間流れるように何かを掴んだルシュドが、再びためらいなく黒い剣を地面に突き刺すようにする。
 闇が煙のように消え去ったあと、腹部を刺されて血を吐いているルイカが倒れていた。ぐりっと剣を動かして力を込めたルシュドが、ルイカの首へ手を伸ばす。

 あっけない。

 けれど、〝栄〟の力を手に入れたからこその、確実な勝利。

 【貴様が死んでも俺は貴様を許さん】

 ルイカが口を開き、何かを言う前に――ルシュドはルイカの首を焼き切ろうとする。その最期の瞬間をわたしはしっかりと見届ける必要があった。ともに歩むひとが起こしたその決着を。
 身体から離されたその頭部を再度、闇が覆い――跡形もなく消し去る。身体も同様だった。

 「や、ったの……?」
【ああ、跡形もなく、消した……あとは残党だけだ】
「それならわたしも協力できる」
【ああ、片付けるぞ】

 ―――。

 数十分が経った頃だろうか。

 「はぁ、はぁ、はぁ……」

 終わっただろうか、汗を拭いながら周囲を見渡す。辺りを見回すと、ルシュドだちが歩いてくるのが見えた。わたしとは正反対で涼しげな顔の彼らだ。

 本当に、なんでわたしだけ。
 若干悔しくなるけれど、ルシュドたちが無事ならそれでいい。

 【シア】

 いとおしい声がわたしを呼ぶ。

 【帰るぞ】

 手を伸ばしてくるルシュドに笑みを浮かべて。

 「あぁ」

 そんな彼の手を――いつのように――取るのだった。

*・*・*

 その日は、わたしとルシュドにとってはやっぱり辛い天気の良い晴れの日だった。燦々とふりそそぐ明るい陽射しは、闇の化身となったわたしにはやはり苦しいものがある。
 いつものように、陽ざしを避けるために目深に被れるフードのついた外套を羽織っていた。
 もう以前のような軍服ではない。あの頃は着ようとも思わなかった女物のドレスを身に着けている。シンプルだけれど身体のラインを綺麗にみせるつくるになっている黒いドレスになっていた。その上に馴染みやすい色のブラウンの外套を羽織っていた。
 たくさんの人がいるところに行くのだから全身は真っ黒はいくらなんでも目立つだろうとの意見になったためだ。
 となりにいるルシュドも同様に、仕立てのように黒い軍服にも似た服装に、同じブラウンの外套だ。

 【まったく天気がいいな、曇ればいいものを】

 ぶつぶつと呟いているルシュドにくすくすと笑う。

 「セザール様は手配をしてくださっているだろうか………」
【さあな。ミスリルたちの気配はするぞ。精霊使いの……王の気配もする】
【――風で見てやるぜ】
ルシュドがそう言ってくれ、フィリップが機転を利かせて声を弾ませ――ひゅう、と乾いた風が舞っていった。
【――……王に、ミスリルにレオナルド……お前の父親と、義理の父親もいるし……、あいつもいるぜ。お前の上司だったやつと、お前の隊にいた男とか】
名前は覚えていないだろうがそう説明してくれる。セザール様は、できるかぎりの人数を集めてくれたようだった。裏切ってばかりなのに、本当に申し訳なくて、ありがたい。フィリップの言葉によると、セザール様と父様、エメロットはもちろんのこと、サイラス様にランザまでいるらしい。
「ランザにはあれから会えずじまいだったし、嬉しいな。――話が終わったあと、隊の部下たちやアルザ家によりたい」
【今日はお前に付き合う】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――Side Emerotto.

 『お久しぶりです。この度、――精霊界でのルイカとの事件も収拾がつき、やっとあなたたちのところへ顔を見せることできそうです。
それにつきましては、かつてのグランディア国の第二小隊隊長レシア・アルザとして
人間界の王であるセザール様に最後のお願いをしたいと思い、あなたの精霊であるミスリルとレオナルドにこの手紙を託しました。
わたしは今、長く人間界に留まることができません。
そうして、精霊と同じ存在になった今――事情を知らない者たちもいるため、頻繁に人間に訪れることをやめようと思っています。

いつ来れるかわかりません。

ですから、――別れとして、大切なひとたちをあなたの手で集めて頂きたいのです。
最後の我儘を、どうか、よろしくお願い致します』

 「これか、レシアから送られてきたっつう手紙は」

 サイラスの持っていたその手紙をエメロットは覗き込んだ。
 その手紙はあくまで精霊界の王のもとへ去って行った姫君としての言葉だった。かつての、そんな言葉が胸に刺さる。――もうレシアは、違う道へと歩もうとしている――いや、もう歩んでいるのだから。
 確かに彼らからしてみれば、頻繁に人間界へ来ているということになるのだろう。
 エメロットたちからしてみれば、最後にレシアに会ったのは一ヶ月ほど前だったから――ずいぶん会っていないという感覚だ。けれど、普段なら特定の精霊使いにしか接触しない精霊にとっては、頻繁という言葉は当てはまるのだろう。
 それにレシアはひとりで人間界に来ることはなく、護衛のように夫となった精霊王もついてくるのだ。
 精霊からしてみれば、極力人間との接触は避けたいのだろう。無論、歳を取らなくなったレシアが頻繁に人間界に来て顔を見せるというのもいずれ支障を来たすだろう。
 それを見計らっての言葉、なのだろうか。

 別れ、という言葉が――仮にも娘となった弟子から出るのは辛かった。

 「………で、来るのか」
「ああ、今気配がした。それで間違いないな?」
「ああ」
外套を被っている人物にセザールがそう問う。その人物はゆっくりと頷いて、踵を返して去っていく。
「精霊となったレシアの気配も、精霊の王である彼の気配も、精霊使い(俺)にはわかる。――もうすぐだ。城の門兵たちには、レシアが来ることは伝えてある。入って来れるだろう」
セザールがそう言ったのだから、そうなのだろう。

 精霊使いと明かした彼が、そう言うということは――本当にレシアは人間ではなくなったのだと、違和感を覚えた。

 ほどなくして、門兵の声がする。

 「レシア様ご一行がご到着なされました!門を開けます!」

 その声とともに、大きな扉が内側にギイと音を立てて開いた。

 (セザール様の話によれば、………知っていることも、あるけどな)

 あれから、セザールは自分自身も精霊使いであることを明かした。本来ならば、話すことは避けたい内容だったのだと思うが――信頼の上でだろう。そうしてその上、セザールは自身が知りうる限りでのレシアの情報をエメロットたちに話したのだ。
 それによれば。

 レシアを〝栄〟として精霊と同じ存在につくりあげたのは、精霊界を統率する闇の精霊である――ルシュドという男。
 どうやらこの男はとても強く、冷酷で、それでいて――レシアだけを大切にしているらしい。
 そんな男の脇を固めているのは、エメロットたちも見たことのあるふたりの精霊だ。このふたりも上級の強い精霊らしく、名前をサラとフィリップというらしい。
 自分の精霊たちからの情報だということだ。
 そして、〝栄〟というものは、この世界でいう「花嫁」のようなもの。
 女の精霊は極端に少なく、時代の精霊をうみだすことは精霊たちにとってもとても難しいことだという。そんな中、苦肉の策としていつからか現れたのが愛した人間の女を自らの種族と同じ存在につくりかえるということ。それが〝栄〟というものらしい。それにより、生涯の伴侶と同時に本来の力が増幅するという利益つきで精霊たちはより強固になるという仕組みらしい。
 そんな〝栄〟になった女は、その力を分け与えられた精霊と同じ力と性質を持つのだという。
 レシアの場合は、闇の精霊の力と性質ということだ。

 闇の精霊は、闇の化身というだけあり朝陽だったり太陽の明るい陽ざしが苦手で身体に影響を及ぼすという。そのため、神話や言い伝えのような吸血鬼みたいに、陽ざしに当たらない生活をしなければならないという。
 そんな辛い昼間にこの人間界に訪れたのは――まさしく、エメロットたちの都合に合わせて、ということなのだろう。

 大きな扉が開いて現れたのは、四人の姿だ。
 落ち着いた色のブラウンの外套を羽織ったレシアとルシュド。そうして、その後ろにいるサラとフィリップ。
 そこで、はたと気づく。城の窓は遮光がされていない装飾豊な窓だ。明るい陽ざしをわざわざ取り込むようにしてつくられたもので、普段普通に生活していれば気づかないような些細なことも、今のレシアにとっては辛いのだと知ると辛いものがあった。
 だから、昼間なのにここはカーテンに閉ざされ、温かみのある電気だけがついているのだ。

 扉が閉まると、目深に被っていた外套のフードを後ろへとやるレシア。

 以前会った時よりも長くなった銀色の髪。あの頃は決して斬ることはなかっただろう黒いドレスに身を通していた。

 【レシア、ルシュド預かるよ】
「ありがと」
【ああ】

 対となっていただろう外套をサラが預かると、レシアは身体のラインがくっきりと映る黒いドレス姿だった。となりのルシュドも黒い服装で、正しく闇の精霊そのもので番の雰囲気を醸していた。

 「この度は、ありがとうございます。セザール様。――ミスリルとレオナルドも、頼まれごとをすまないな」

 深く頭を下げたレシアはどこか他人行儀で。セザールのそばにいるのであろう精霊にもあいさつを交わした。

 「どうやら、手紙は全員呼んでいるようですね。――今度ここに訪れるのはいつになるかわたしにもわかりません。ですから、別れを告げに来ました」

 となりの精霊の王がレシアの腰に手を回している。

 ―――そこにいた義理娘は、正真正銘精霊の王の妃そのもの、だった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――End.




 陽ざしが辛かったのか、身体が思うように動かなかった。少しよろけただけなのに、目ざとく見つけたとなりの恋人は支えるように腰を回してくる。

 今は、夫だった。

 そう、そして精霊の世界を統治しているひとだ。

 「すまない」
【お前はまだ度合いがわかっていないだけだ】
「……あぁ」

 身体が闇に馴染んでいくのと比例して、わたしの身体は朝と昼にいることができなくなっていった。そんな身体をおして人間の世界に降り立ったはいいが、素直に言えば身体が痛い。苦しさを感じるが――これは以前感じていたものと似ているから耐えることはできる。

 「平気………、――セザール様はそれも見込んで暗くしてくれているし、……すぐに治る」
【そうだな】

 ゆっくりと歩きながら、久しぶりに見る顔を見渡した。

 「セザール様、感謝する。――わたしの願いを聞いてくれて、ありがたい」
「――ずいぶんと他人行儀な手紙をミスリルたちに託したものだ」
「だがもう……、わたしは人間ではないので。――……ルイカもルシュドが倒してくれました。人間界に及ぶ被害ももうないでしょう。平和になったからこそ、あなたたちに別れを告げに来ました」

 そう言って微笑んだ。

 「別れとはずいぶんたいそうな言い分じゃねえか。もう一生見せねえってか」

 エメロットがそう言ってくる。

 「いつ会いに来るかはわかりません、個人的に会いに行くのは確かですけれど。とりあえず、三年は会うことはできませんね」
「はあ?なんだそれ」
わけがわからないとでも言いたげに首を傾げた。
「この別れが一時的な別れだと願いたい」
そう言ったあと、笑みを浮かべた。

 「エメロット、ありがとうございました。あなたには師としても親としても、どれだけ感謝したらいいか。……あなたはわたしにとってもうひとりの父様でしたよ」
「レシア……」
「父様、わかりかえた時間は短いですが……これからあなた方に会う時間も少なくなってしまうでしょう。ですが、ひとつだけ親孝行できそうなことがあります」
「親、孝行……?」
エメロットと父様にそう言ったのち、サイラス様を見やった。
「サイラス様、幼い頃からお世話になりました。姉のこと、わたしのこと、……あなたにはたくさん心配をかけたでしょう。そして以前のように戻るのにも時間がかかってしまった。それの原因がわたしの命というのも皮肉なものでしたが」
「……俺はお前が幸せならなんでもいい。今、幸せなんだな?」
「はい、幸せです。これ以上ない、ほどに」

 ひとではなくなってしまったけれど、これが自分の幸せだったと認められる。

 苦しいとき、一番そばにいて支えてくれたこの精霊を今度は――わたしが支えて、幸せにしてあげる番だ。

 本当は、ずっと、寂しさを抱えてひとりでいたはずの彼を。

 「ランザ、すまないな」
「ほんとだぜ。俺だけまず謝罪からはじまってほしいと思ってたくらいだ」
「お前なら、いいかなって」
「んだよ、それ」
「ランザだからだよ」
「……わかってる。隊のことは任せろ。――あいつらも会いたいって言ってるぜ」
「そうだな、これが終わったらあいつらにも会いに行こう」

 ランザとだけフランクに話すのも、きっとわたしと彼らしい終り方だ。

 「――親孝行に値するでしょうか、」

 わたしは言いながら、腹部をゆっくりとなぞった。

 「―――……!お前……、」

 それぞれが驚いた表情をして、皆がその意図を理解する。

 「サラが言ってくれたので、会っているでしょう。いずれ、子供が生まれ、そんな子供が成長したのち……あなたたちに会いに来たいと思います」
微笑んで、エメロットや父様たちを見やる。
【――感謝する。精霊の王として、レシアを栄にした者として、レシアを娶った男としても】
静かにルシュドはそう言いながら、そっと引き寄せてきた。
【精霊は女の数がとても少ない。種族を継続させることも難しく困難だ。精霊の子供はとても大切にされ、……繁栄の象徴だ。――人間界では精霊使いは貴重な存在だ、そんなレシアを奪ったことは後悔はしていないが、――その分、大切にしよう。レシアとその子供ごと。こちらの世界で貰い受ける】
「ルシュ……」
【これくらい言わないとお前を貰う示しがつかないだろう】
【シアのおかげで、ルシュドもずいぶんと丸くなったってことだよ】
【はは、そうだなァ】
ルシュドの言葉にサラとフィリップが笑う。

*・*・*

 【良かったのか、弟たちに会う時間はあんなに短くて】
「ああ、大丈夫。――あまり話していると、この世界に留まってしまう」

 大事な場所。
 人間の命を謳歌した場所。
 未だ大切なひとたちがすむ場所。

 別れを告げてしまうのだとしても、遠い未来まで生きるこの命で――大切なひとを見守ろう。

 「大丈夫、――部下たちも、ロイも、『また』って言ってくれたし」

 約束があれば、数年後再会することもできるだろう。今は、希望が持てる。――数年後、わたしは生きていられるのだから。

 【そうか、お前がいいならいい】

 ルシュドがそう言い、フードの中から視線を投げてくる。

 【帰るぞ】
「ああ」

 差し出される手は――帰るぞ、と当たり前のように向けられる声は、わたしだけのもの。その声に導かれながら、わたしはいつだって彼の手を取る。わたしだけの、手だ。わたしだけの呼びかけだ。
 そんな些細なことで幸せを噛みしめられる。




 ああ、生きていてよかったと――――――――――――思えるのだ。
関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
総もくじ 3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png 龍の愛した神子
もくじ  3kaku_s_L.png 東の君
もくじ  3kaku_s_L.png セツナ
総もくじ  3kaku_s_L.png あなたとわたしのこいのはなし。
【エメロット編変更~!】へ  【永遠を誓うのだ。】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

次回最終話!

ふあーーー!

時間がかかりました!ルシュド編!

次回で最終話となりますーーー!
読んでくださっている方がいるのなら、ありがとうございました。読んで頂きありがとうございます。訪問してくださっているだけでも嬉しいです。はい……!

ルシュド編では、番っぽい表現を目立たせるようにしたんですが、
どうでしょうか。

このお話でも精霊たちはどこか背徳的な願いを抱いているので、
何かを選ぶためには絶対に何かを捨てなければなりませんので…。

とにもかくにも、次回までお楽しみくださいませっ。

思ったのですが…、高宮やっぱりエメロット贔屓ですね……笑
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【エメロット編変更~!】へ
  • 【永遠を誓うのだ。】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。