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 ←懸想 →Scene3 「ねえ、貴方は……」
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「グランディア国物語」
If Story1 わたしの君にうたう歌<エメロット編>

始り

 ←懸想 →Scene3 「ねえ、貴方は……」


 君が楽しそうに笑うから仕方がないと思ってしまった。

 君が無理矢理に明るく、強引に手を引くから。

 わたしはいつしか―――楽しさを見出した。
 黒く灰色の世界も、君のそばにいれば綺麗な色に戻る。少し遠い背景に目を瞑れば、君のそばは居心地がいい。

 【あなたの仲間にわたしは見えないよ?それと、精霊使いだってばれるとこの世界にはいられない。悪いことは言わないから、口外するのはやめなさい】
『何でだ?』
【あなたが来た国でだって、自ら精霊使いだと名乗っている人間はいなかったでしょう】
『あぁ、まぁ、聞いたことねえな』
【精霊使いは、精霊と契約をして力を持ち普通の人間よりも身体能力も何もかも強いはずなのに、悪い人間に使われることのほうが多い。……大切な人を人質に取られ、心を殺され、逃げる気力さえ奪う。その、仲間を護りたいなら、隠しなさい】

 真剣に言った言葉に、冗談で返すことはなかった。
 エメロットはふっと笑って頷く。

 『お前は俺を心配してくれてるっつうことだな?』
【な、なんでそうなるの……】
『そうだろ、ありがとな』
ぐしゃぐしゃと撫でられる。――この行為が子供扱いではなく、彼の感情を伝える手段なのだと気づいたのは、彼のそばに数日いた頃からだった。
『姿見せるっつうことはできないのか』
【できるけれど………普段より疲れるんだ、維持するために、力を使う】
『俺の力でお前を見せたりとかもできるのか?』
【まぁ、しようと思えば】
『なら、交代でやってけばなんとかなるだろ。――いいだろ?お前に仲間っつうの教えてえし。楽しいぞ旅もさ、まァ、使命はあるけど』
【そんな気遣いはいらないわ。人に姿を見せるくらいどうってことないもの。――言っておくけど、感謝しなさいよ?わたしは、精霊の中でも上位の精霊よ】
人間に何かをされるのは癪だ。精霊としてのプライドのようなものでそれを突っぱねる。


 

 遠くを見る君の瞳はどこまでも明るい。


 君が楽しいというのなら、旅も楽しいのだろう。

 君が大切にして、世話を焼いているのだろう仲間に会ってみたいとも思った。

 【けれど、わかったわ、妥協しよう。―――もし、危険になったら、わたしが一旦……戻れば済む話だ】
『何か言ったか?』
【なんでもないよ】


 言えない。優しいとわかってしまう君には。

 人間に姿を見せていることでも力を使うが、この世界に留まることにも精霊には危ういということ。二重に負担がかかるということ。
 そうして、わたしは――密かに死のうとしているのだと。
 精霊の世界でも、わたしのことを仕事をしない天邪鬼だと罵る声が上がっているかもしれない頃だ。


 言えない。


 言わない。


 死ぬまでの気まぐれだ、ということを。



 まだ、君のことを好きになっていなかった頃。
 会ったばかりの頃。

 君は、わたしを、――仲間のもとへと連れて行ったのだ。

*・*・*

一瞬わたしの全身がゆるりと光る。
 『それで、他の奴らに見えるのか?』
【見えるわ】

 前を歩くエメロットのあとについて行く。

 【あなたのその肩口の証、……普段は見えないようになっているけれど、力を発現するとき周りに見えないようにしなさいね?】
『はいはい、わーってるって』

 新しい街で、仲間たちと待ち合わせをしているらしい。

 【あなただけなぜ、あの街……あの森にいたの?】
『あー俺らはな、グランディアっつう国の軍人なんだが……、配下である隣国の内乱を治めてこいっつう命令が下ったわけだ。だから、そこに向かう途中だったが、俺は別件で寄ったわけ』
【別件?】
『野党の掃除』
【そういえば、声がしたような気もしたわ………】

 この宿だな、とエメロットは指差し中に入っていく。

 『おい、お前……その女性はどうした?』
『――おおお、エメが女連れてる!』
落ち着いた様子の黒髪に黄金色の男と、そのとなりにいる元気で男っぽい口調の桃色の髪と瞳の少女。
『シリュウ、ミランダ。――レイシスたちは?』
『あぁ、自分たちの部屋にいるんじゃないのか』
『すれ違わなくて良かったぜ』

 黙っていると、エメロットがこちらを向いてにかっと笑う。

 『俺の仲間で、男がシリュウで女がミランダな。シリュウのほうは、俺と同じ軍人だ』
わたしに向かって紹介をすると、エメロットがふたりに向かって言う。
『こいつはリシャーナ。別件で寄った森で、死のうとしてたから生かしてやった。行く場所ねえっつうから連れてきたんだけど。まあ仲良くしてやってくれよ』
【まだわたしは諦めていないよ】
そっと呟くと、エメロットが凄い顔で睨んできたがそれを視線を逸らして流す。
『女性が死ぬとは見過ごせないな。――俺たちと出逢ったからには死なせはしないぞ』
『死ぬ気で止めてあげるね、あなたが死のうとしちゃったら!――よろしく、綺麗な髪と顔ね!どきどきしちゃうわ』
ミランダが手を握ってぶんぶんと振ってくる。


 彼らの生気も、灰色ではないが少しだけ暗い色だ。一瞬で、背景が暗い色だということを自覚した。
 【……っ、】
『どうした?リシャーナ』
【なんでも、ない。よろしく】
そっとエメロットのほうを向く。――あそこだけは白い世界だ。綺麗なひかりを放つ世界。エメロットの清いひかりに影響されて、となりにいるシリュウの生気もひかりを取り戻していた。

 やはり、すごい。

 黒い色にも影響されず、逆に他者に影響を与える魂――彼自身がとてもとても強いからできることだ。

 次に、案内されたのは、残るふたりの部屋だった。シリュウとミランダも一緒にいる。

 『オイ、レイシス!ミレイア!紹介したい奴がいんだけど』
扉を叩くと、部屋からふたりが出てきた。大部屋をひとつ取っているようだ。――いくら軍人とは言えど、資金面での援助はあまりないのだろうか。
『女……?』
『あら、……私と同じで追いかけていらしたの?』
銀の髪で紅い瞳をした男、その後ろで可愛らしく首を傾げる銀の髪に碧眼の少女。ミランダは戦えるようだが、この少女はいかにも〝お嬢様〟だ。

 内乱を治めに行く軍人の一行とは思えない。

 内心首をかしげていると、それに気づいたのはエメロットが笑う。

 『この男がレイシスで軍人な。――後ろのがミランダ、レイシスの幼なじみで貴族家の姫だが、こいつ追っかけてこんなとこまで来たんだ。もともとは、俺とレイシスとシリュウだけの旅だったはずなんだけどよ、ミランダもあとからついてくっし、もうなァ』
エメロットが苦笑しながら、がしがしと頭を掻く。
『あ、こいつはリシャーナ。追っかけではなく自殺しそうだったから俺が拾った』
『拾った……?お前……』
レイシスが何かを言いたそうにエメロットを見やるが、笑みだけを浮かべているエメロットに何も言わずにため息をついた。何を言っても駄目だ、とわかっているのか何なのか。
『リシャーナというのね、よろしくお願いします、わたしはミレイア。――何を、悩んでいるかはわたしにはわからないけれど……死んでは駄目よ。何も、なくなってしまうわ。でしょう?』
手に触れてきてミレイアは微笑んだ。この中では一番の年下の様子だが、浮世離れしてるお嬢様のような発言にすごいと思った。
 嫌だとか、そういう意味ではない。
 純粋に、すごいと思った。


 けれどね、わたしは―――――――ひとではない。


 ひとと感性が違うのだ。



 そして、他の精霊とも違う。
 わたしだけが見ている世界は――とても辛く苦しい痛いもの。息が苦しくなるこの光景を何年と見続ければ心は荒むというものだ。
 他の精霊にも――ルシュドやフィリップたちにも見せられない。
 見ているのがわたしだけで、よかった。
 そんなことを思ってしまうくらい暗い、まるで地獄のような世界。


 『――おい、リシャーナ』


 低い声で、名前を呼ばれる。

 レイシス、シリュウ、ミランダ、そしてミレイアの中で、エメロットは笑う。


 『これで、お前、死ねなくなったな』


 不敵にそう笑う。


 ああ、君は――わたしを死なせないために仲間に紹介をしたのか。あとからそう気づいた。無理矢理に絆をつくって、どんどん居場所をつくらされて、きっといずれ、わたしは君のそばを居場所だと錯覚してしまうのかも、しれない。


*・*・*



―――――――――――――――――――Side Out


 屋敷に戻り、レシアとレシアの母であるミレイアが屋敷にやってくるのを待っていたサイラスのもとにやってきたのは驚く内容だった。

 「サイラス………!」

 母であるミランダの声に、眉を寄せる。

 「……どうした?」
「レシアが………!倒れたわ!――何度呼びかけても返事をしないし、軍の医者が見てもわからないって………!何故か屋上で倒れてて、見回りの兵士が見つけたらしくて――今は城の医務室で眠ってるらしいわ」
「それは……アルザ家にも連絡が?」
「ミレイア……ええと、アルザ家にも連絡がいってるわ。軍にいるレイシス様がレシアのところに行ってるって……」

 様子を見てくる、サイラスの呟きにミランダは頷いた。

 「行ってあげてちょうだい。わたしは電話でアルザ家と話すわ」
「ああ」

*・*・*

 急いでミランダに伝えられた医務室に行くと、そこにはレシアを心配して集まったのだろう――ランザとセザールもいた。
「ああ、サイラス」
「指揮官……ご無沙汰しております」
セザールが声をかけ、ランザが礼儀正しく頭を下げる。
「……サイラス様、ありがとうございます」
「いや、レイシス。大丈夫だ」
レシアが心配なのか顔を蒼くしたまま立とうとした彼をそのまま座らせる。

 サイラスはミリアがまだ生きていた頃、アルザ家へと通っていた。婚約者でもあった彼女のことは心配だったし、想っていた相手でもあったからだ。
 けれど、それと同時に妹のように思っていたレシアの屋敷での待遇も気づくことになり、――危惧していた。レイシスとその妻であるミレイアには悪いが、――ふたりはレシアのことを大切にしていないのではないかとずっと思っていた。シリュウとミランダにもその訳を話し、そういう理由ならば――とレシアをアルヴィレス家に招くことになったのだ。
 それが経緯だった。

 (……だが、嘘とは思えない)

 レイシスの蒼白な顔を見て、これが嘘だとは思えない。

 (ただ、間違えただけなのか……もうどうやって接すればいいかわからなくなるほど、溝が深くなったということか)

 どういう訳があろうとも、あの屋敷にレシアをひとりでは置いておけない。
 レシアの心が荒んでいくだけだ。


 だと、思っていたわけだが。



 彼女が何故、死んだように眠っているのか理由がわかっていないというのは不思議だった。


 「……容体は?」
「――わからない。医者が見た限りでは身体に異常はないし、風邪をひいて倒れたというわけでもないらしい。疲労が溜まっていたのか、心身的な問題なのか………」
言葉を濁すセザールに、ぐっと黙る。
「義兄さんの呼びかけにも答えないんで、……俺も呼ばれて、セザール様も呼ばれたわけですけど……誰が呼んでも揺すっても、起きなくてですね」
心配そうな暗い声でランザも続く。

 「レシア、……レシア」

 自分では駄目だろう、サイラスはそう思いながらも名前を呼んだ。自分はつい先日久しぶりに彼女とちゃんと会話をしたのだ。そんな自分が語りかけても何にもならない。
 だが、綺麗なまつげを下ろしたままレシアは死んだように眠っていた。

 「お前は……どうしたんだ?……何が、あったんだ……?話すのなら、聞いてやったものを……」

 もし、何か悩みがあったのなら――それで、こうに眠ってしまったのなら。

 何かを聞くくらいならできたはず。

 だが、その手段を切ってしまったのも――距離を取ってしまった自分のせいでもある。自分も悪いことをした。サイラスはそれを食いながら、レシアを見つめた。

 「――サイラスでも駄目か。……誰なら、大丈夫か。片っ端から王権限で呼ぶか?」
後ろで王であるセザールはとんでもないことを言ってる。というかむしろ、なぜ王であるお前がここにいるんだ、とサイラスはセザールを見やる。
「セザール、お前はレシアと知り合いだったか?」
「――ああ、つい最近な。共通の友人を介して知り合った」

*・*・*


 セザールはサイラスの疑問に、ふっと笑って答える。
 自分の精霊であるミスリルを通じて知り合ったなど、信じないだろうからそういうことにしておく。

 (そうか……ミスリルとレオナルドに協力してもらえれば、レシアの精霊とも話ができるかもしれない。この状況の何かを知っているかもしれない)

 無理矢理起こそうとしても起きなかったというのは不思議だ。
 まるで意識そのものがどこか違うところへといってしまっているような。

 (……人間の知識上では説明できない状況だ)

 精霊なら何かを知っているかもしれない、セザールはあとで聞こうと内心頷いた。

 「レシアの知り合いか……わかるか、三人とも」

 セザールの言葉に、ランザが口を開く。

 「レシアと俺の隊の隊員たちも呼んでみます。あと、知り合いと言ったら……今日、初めて知ったんですけど……エメロット様、ですかね」
「ああ、そうか、エメロット……。あいつは、俺よりもレシアのことをわかっているはずだ」
ランザの言葉にレイシスが自嘲するように頷いた。
「とりあえず、レシアの知り合いを合わせて、レシアに声をかけてもらうしかないな。――無理矢理起こそうとしても起きないのは、……少々怖い。レシアが目覚めなかったら、いずれ軍の仕事にも響いてくるだろうしな」
「小隊でのレシアの空きの仕事は俺が引き継ぎます」
ランザの言葉にセザールは頷く。

 「エメロットか……、つい先ほど俺が仕事を命じて去ってしまっている。帰って来るのは数日後だ。仕事の内容を見ても一週間はかかるだろうな」
「そういえば、仕事って言ってましたね。今朝会った時も」
「――一応、連絡だけはしておこう」
「王、――レシアはエメロットの弟子でもあります。子供のように可愛がってました。……伝えてやってください」
レイシスの言葉にああ、と頷いた。

 「とりあえず、俺は連絡を取る。じゃあな」

 セザールは踵を返し、廊下に出ると――証を光らせる。

 【セザール、何か用~?】
「ああ、話がある。レシアが倒れた」
【………わかった。話を聞くよ】
横を跳ぶミスリルが真剣な声音で頷いた。

―――――――――――――――――――End.
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~ Comment ~

エメロット編こうしん!

おわかりでしょうが、今回のエメロット編の題名は
二文字で全部通してます~。

このお話はレシアが自らの過去を思い返しつつ、エメロットとの距離縮めていくかいなかというお話なのです。

お互いが想い合っていても死というものが二人を別ちます。
お互いがどうにもならない状況に別れることになり、
再びお互いが出会うってどういう気持ちなんですかね……
報われる死ネタは好物です。再会ができた瞬間の彼らの気持ちってどんなものなのでしょうね……泣

まだまだふたりの再会のお話は続きます。
お楽しみくださいませ。

高宮
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