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Scene5 「本当に、ありがとう」

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 この旅に当てはない。だから、毎回街をふたりで歩いて目的地を探すのが常。

 今度こそ誰にも触れられないように本を抱えて、アッシュの斜め後ろを歩いた。

***

 この魔法書は、あるひとから託されたもの。
 彼はこの魔法書の護り手だった。悪意を持つ者たちから本を守るために生きる魔法をかけて、文字を特定の者にしか見えなくさせた。

 『ここに書いてあることは俺たちにしかわからなくていいことだ。俺やお前がわかればいいことなのだから』
『この本が狙われ、もし俺が死ぬようなことがあったら――お前が次の護り手となるのだぞ。お前は俺に似て、先天的にそれを受け継ぐものだ。自らの力と、それを隠し――本を護りながら生きていけ』

 再会したときからそれを何度も何度も繰り返し――そして。
 彼は目の前で――いつも述べていた言葉通り、本と私を頑なに護りきり、殺された。――この本を狙う者たちに。

 『お前は見つけるのだよ。同胞を。自らを護り、愛しんでくれる者を。俺は、この世であいつに会うことはできなかったのだから。弟子であるお前に出逢えて本当によかったと思っているんだ』

 死に際――彼は、かつての師はそう悲しそうに嬉しそうに笑んで、目を瞑った。

 あの日から、この魔法書の護り手はわたし。

***

 貴方に託されるのはこれで二度目ですね、師(せんせい)。もしかしたら、同胞かもしれないひとを私は見つけることができましたよ。
 これから先、どうなるかはわからないけれど。
 もしかしたら、この世界のどこかで私と魔法書を敵たちは血眼になって探しているかもしれない。それでも。

 「これからどこに行くの――?治安の悪いところは避けたいわ」
「そうだな。ここも比較的に平和な街だから来たわけだし」
「――治安が悪い、ところ……」

 ううん、と首を捻る。
 この街は西方に位置する街だ。行くあてはないにしろ、大国を目指して歩いているのは確かだ。この街から行ける大国となると――。

 「ガルデアか、リクトリアだな」
「――……」

 ガルデア……。
 その国の名に、眉を寄せる。――師が倒れ、わたしが護り手になったあの日。そうして、はじめてアッシュと出逢った日だ。師が倒れた原因はガルデア兵がこの本を狙ってきたからだ。

 「――ユエリ」
「ん?」
「リクトリアにするぞ。……少し遠いが、遠回りするのもいいだろう」
「……」
じっと見つめる。
 アッシュはわたしに何かあるとわかってくれたのだろうか。彼がいたあの現場にはガルデア兵が倒れていた。そのことに今も触れずに、そっとしておいてくれている。

 本当のことを、話さないと。

 「ねえ、アッシュ」
「何だ?」
「本当に、ありがとう」

 はっきりとした言葉にすることはまだできないから、その一言に貴方への感謝も恋情も精一杯込めましょう。
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