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「グランディア国物語」
If Story1 わたしの君にうたう歌<エメロット編>

幸福

 ←グランディア、フィリップ編を執ります! →エメロット編完結!※ネタバレあり


 認める。

 わたしはエメロットを煽った。

 君に抱きしめられて、――大きな手で優しく触れられるたび。いつもは乱暴で、言葉だって荒れたもののくせに、触れる手は相変わらず――過去と同じで優しいから。
 胸が締めつけられる。

 遠慮をするように優しい手つきも、今は――持て余してしまう。

 欲しい。
 君が欲しい。

 触れられるたび、声を聞くたび、昔に戻ったのだと戻れたのだと実感するたび。

 君のことが欲しくなる。

 好きで、好きで、好きでたまらなくて、苦しくなってくる。


 息が詰まる。


 恋するとは、実っていてもこんなにどうしようもなく手がつけられず飼いならすことは難しいらしい。


 君の優しさは変わらずに、けれど優しい君だから――強く抱きしめてほしいと願う。
 身体も心も全部、何もかも――強引に奪って、蹂躙して、君のものにしてほしいと思う。そうして、何もかも君のものになって痕をつけられて、そのまま、君のそばに置いてほしい。


 「きみ、の――――――ッ」


 ひゅ、と声にならない声を上げて――身体を貫く強すぎる快感に目をくらませる。
 痛みも何もかもうやむやになって、甘い感覚が痛みを越す。――その痛みさえ幸せだと思うのだから、今のわたしは厄介だと思う。
 強引に身体を揺さぶられる。
 歓喜で震える。

 何度意識がうやむやになり、苛烈な刺激を受けただろうか。


 強い君のそばで、君のとなりで――綺麗な世界を見ていたい。
 どうしても弱くて逃げ出してしまう面倒なわたしを、甘やかして愛してほしい。



 そうしたら、きっとわたしは――一秒でも長く生きられるから。



 「――リーシャ、」
「あっ……ア」

 ぐたり、とベッドに沈む。ぐしゃぐしゃと荒く髪を撫でられた。――ずるり、とエメロットが自分の身体から出ていくのがわかる。そして、眩む視界の端でどさりとエメロットが横になった。

 「――お前の、せいだぞ」
「うん、わたしのせいだから。いいの。――抱きしめて、眠るまでそばにいて」
「………やけに、素直だな。――いいぜ、そういうの。――眠るどころか、ずっとそばにいてやる。甘やかしてやるよ」

 髪を撫でられて、引き寄せられる。
 幸せを噛みしめて、ゆっくりと目を瞑った。腕を伸ばせば君がいる。――それだけこんなに世界は明るい。生きていてよかった、と泣きたくなった。

*・*・*

 ふ、と目を開ける。
 目を開けた視界には、かつてよりも年月を経た恋人の顔。歳を取っているはずなのに、筋肉はついているし、以前よりも体躯が良くなっているような気がする身体。皴はあるけれど、それでも格好良い。
 君に対しては、やっぱり盲目らしいよ。わたしは。

 呟きながら、さらりと頬を撫でる。

 君のことが好きだ。

 君に、また――この歌を捧げることができるなんて。


 ゆっくりと音を立てないように上体を起こして、わたしは目を瞑る。


 かつては、全うに人生を終えた清い魂を輪廻へと送るときにリシャーナだったわたしが賛辞としてうたっていたものだった。
 いつしか、その魂たちはいなくなり――歌をうたう意味を見失った。生前悪事を行った魂にうたうことは躊躇われて、うたえなくなってしまった歌。


 けれど、君のためにうたえた。


 いつしか、その歌は君に捧げる歌になった。


 君にうたう歌。


 子守唄のように聞かせたり、君がせがんだときにうたった。

 「―――あー、あー」

 声は出る。リシャーナのときと声は違うけれど、君が安堵してくれるならいい。幸せだ。君にまたこの歌をうたうことができて。


 その夢を追いかけて生きた
 君の道は光輝いて
 今もずっと残っているの

 優しい光をこぼして
 よみがえる命の灯は
 また巡るはじまりの合図



 零した歌詞は忘れていないらしい。ぴくりと反応を示した彼の髪をさらりと撫でる。――遠い昔も、歌を聞くとゆっくり眠れたとかなんとか言っていたような気がする。
 照れくさいけれど、そう言ってくれるのが幸せだった。


 その夢を追いかけて生きた
 君の道は今も輝いて
 まだずっと残っているの

 これからもずっと
 君のために
 君の名を呼ぶためにうたう歌

 「ん―――?」

 シーツがこすれる音がする。ゆっくりと動いた腕がさらりとわたしの肌を滑った。

「………リーシャ……?」
「起きた?」
眠そうなかすれた低い声に問いながらくすりと笑う。撫でつけるように髪を梳く。ゆるりと態勢を変えてわたしを抱きしめてくるエメロットに眉を寄せる。
「重いよ」
「―――歌」
「ん?」
「その歌……、すげえ久しぶりに聞いた」
「……」

 その言葉に、黙り込む。その声音、ゆっくりと噛みしめるように呟いたそれに――胸がきつりと痛む。じわりと涙が滲んだ。

 ああ、ずっと、君は待っていてくれたのか。

 ふっと、その結論にたどり着く。何の疑いもなく、そうなのだと思えた。

 君はずっと、わたしが目の前で消えたあの瞬間から――わたしを罵りながら、断罪しながら、それでもいなくなったわたしを想っていてくれたのか。
 何故だ、と、
 なぜ自分にちゃんと相談してくれなかったんだ、と。
 そうに思いながら、それでもわたしを想っていてくれたのか。

 かつてのように、君の心を知れないのが悔しい。


 「これからは、毎日歌うよ」
「なんでお前が泣きそうなんだよ。泣きてえのはこっちだっての」

 そう言いながら起き上ったエメロット。


 そうやって、くしゃりと顔を歪めた君の顔は――積年の思いを綴るようで。



 君のことを想っている。
 愛している。
 ずっと、ずっと――。


 わたしは君のそばでずっと、歌い続けよう。


 かつての世で君に出逢ったことを感謝する。死のうと思っていた自分の運命を変えたあの瞬間を。


 「リーシャ、」
「―――、ん」

 朝の触れるような口づけ。


 「おはよう」
「―――おはよう、エメ」


 生きる意味を変えてくれた君へ。
 わたしは、君へうたうことができる。愛情や、尊敬や、いろいろな感情を込めたこの歌を。
 君のためだけにうたうこの歌を。


 エメロットの腕がセシリアの頭の後ろを通りすぎ、カーテンを開ける。

 差しこまれる陽ざしは明るい。
 ちらりと見えた外の景色は――透きとおった青空に、生えた緑の綺麗な庭。


 「今日は、ふつうみたいだな」
「ああ」
「起きるか」

 のびをしながらベッドから降りるエメロットに続く。他愛のない毎日をこうして遅れるという幸せをわたしは知っている。


 毎日、毎日、捧げよう。

 君に。

 君のためにうたう歌を。
 君と出逢えた喜びと、君を愛すると誓うためのこの歌を。

End.
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~ Comment ~

エメロット編完結!

完結しました~。

ここの作者の裏話は長くなりそうなので、

未分類のほうで再度つくって、これからの方針を明確に羅列することにします。

エメロット編これにて完結です。
コメントでもくだされば嬉しいなーとおもいます!!

高宮

エメロット編完結裏話へ

http://restderwelt.blog.fc2.com/blog-entry-168.html

エメロット編完結にともなっての作者の裏話はここから飛べますん。
気になる方はぜひ。
今度のグランディアのことも少しだけ書いております。

他のif storyもあったり、かもなのでお楽しみに。
まずはセザールかフィリップからですかね~?ハイ
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