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「蓮姫」
~蓮姫~番外編

いつかの誓い【弐】

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 「あいつらやな、目的の奴らっちゅーのは」
木の隙間から淘汰は指を指す。数はそれほど多くない。 二十人前後だろうか、―――淘汰の実力は認められているが、皇眞の実力がどれほどのものなのか、だ。
「―――…父様の言葉通りだ。 数は二十三人。頭は若い、いかにも馬鹿そうな男。副官らしい男は剣を二つ持っている」
「目がいいなァ、お前。 気配も読めるか?」
「よゆー」
的確な情報を当てた皇眞は、幼い表情に眉間を寄せて副官らしい男を見ていた。
「二刀流か。 ―――俺の前でへたくそな二刀流なんて、許さない。 この手で躾(しつ)けてあげないといけないな」
口角を吊り上げて、これまた子供とは思えない表情をする。 
 そうやったな。
 淘汰は思いながら、隣の皇眞を見る。 白吹の家は代々二刀流を使いこなす名家だ。今や、ちゃんとした流派は白吹の家以外ないと言っても過言ではない。だから、その誇りもあるのだろう。 二刀流を使いこなせていない人間を見ると苛立つらしい。

 ―――なんや、感情ないっていうよりかは……やっぱりあるけど出さないんやな。

 出す人間が、感情を見せるに値する人間が、いないのかもしれない。
 家の人間には、きっと出せないような立場にいて、そういう雰囲気があって―――“良い子”を演じている。
 だから、それ以外では出す人間が見つからない、といった感じか?

 洞察力があるほうでよかった、つくづくそう思った。
 大体の人間に淘汰は合わせることが出来るし、少しだけ扱いずらい皇眞だが―――ちゃんと分かればそうでもないと希望が見えてきた気がした。

 「ほんじゃ、そんなに躾けしたいんならもう行くか。 わかっとるな、ペアで来たっちゅうことは息が合うことが大切や。今回は最初やからな。 お前が動いて俺がサポートするわ、あかんことするなや?」
「―――…」
不服そうにだが、皇眞は頷いた。
 ここらへんの聞き分けはよくて、皇眞は助かる。―――どんなに自分が不服でも、嫌でも、仕事のために妥協や我慢が出来るということだ。
 「ほら、行き!」
動かない皇眞に、淘汰は首を傾げる。
「どないした?」
「―――ひとつ、聞きたい」
「なんや?」
「殺しても平気なのか」

 その質問に、淘汰は息を呑んだ。―――十一のガキが、何言い出すんや。

 「暗殺は、殺すことを言うんやで? 怖気づいたんか」
「まさか……―――ただ、…いい。 お前に言うだけ、時間の無駄だ」
少しだけ翳(かげ)った表情で、そう呟いた。


 この時は、皇眞は何が言いたいのか意味が分からなかったが、それを淘汰はかなりあとに知ることになるのだ。


 皇眞はその後に、即、刀を抜き払って木の上から地上へと降り立った。 膝を曲げて着地したと同時に、姿勢を低くしてそのまま走り出す。 風のような速さで、敵陣に突っ込んで―――自分の数倍はある大人たちを、しかも、名の通る盗賊で武器を持った野蛮な男たちを薙ぎ倒して言ったのだ。
 ほぼ、サポートはいらないくらいに完璧だった。
 たまに、目先しか見えていない行動があったため、淘汰が隙を付かれない様に補助したが。

 それに、分かったことがある。
 時雨の姓である自分もそうだ。―――幼い頃から“人を殺す剣”、“汚い剣”を習ってきた。 だから、淘汰の手も無意識に人を殺すように剣を振るって、軍でやるような兵士のする綺麗な剣なんてもうできない。 人を屠(ほふ)る血に染まったものになった。
 ―――同じ、や。
 目の前のこいつも、同じなんや。
 淘汰はそう思いながら、共闘をして皇眞を見やる。
 その幼さで、人を殺すための剣を覚えたのだ。 稽古で実践、即ち(すなわ)稽古自体で人を殺す練習をしている。闇に、悪に、染まることを自ら学んでいる。
 その手は確実に、大人の男でも確実に死に至らしめる急所を狙っていた。
 幼い皇眞の顔は、無感情、無表情――――何も感じていない表情(かお)で。 それでも、痛いと言っているように聞こえるのは、淘汰の気のせいなんだろうか。
 
 ―――皇眞、お前……気負いすぎやで。

 よくよく考えてみれば、まだ皇眞は十一で。そして、こんな刺客になんてならない歳で。まだ、こんなに剣はうまくないはずで。 一体、どんな過去を過ぎてきたんだろうか。
 そして、それを思うとぞっと身体が冷えるような気がした。

 数十分経っただけで、そこは血臭が匂い―――人間だった残骸が散らばる。
 心臓を一突きだったり、腹部を深く一閃だったり、首を斬ったり斬り落としたり、あまりにも容赦のない攻撃を受けた盗賊たちだった。
 返り血に染まった自分よりも小さな皇眞を見やった。
 あまりにも不釣合いで、この場にいるのが信じられない皇眞の姿。 そのまだ子供の手には、大きな剣を持って―――顔を紅(あか)で染め、ただ無表情で敵の―――頭(かしら)である男と、副官を見ていた。
 やっぱり無表情の顔はどこか痛々しげで―――ふと、淘汰は分かったような気がする。
 殺しても、平気なのか?
 あれは、その言葉通りの意味ではなく―――残酷に、無慈悲に、―――残骸にするような惨い殺し方をしてもいいのか、ということではないのだろうか。
 
 そして、今の皇眞の顔は。
 ―――それしかできない―――そう言っているように、見えるのだ。

 「アホみたいに完璧やったわ、」
「……」
言うと、皇眞は無表情のまま剣の血を払った。 まだ残ってる、とでも言いたげな視線で、最後に残る男ふたりを見て。
 「ガキが!!! よくも仲間を殺してくれたな!!」
激情した男は、どうやら精神はまだ子供みたいらしい。 
 日ごろから暗くなるようなことばかり勉強していれば、大人になるというものだが―――淘汰も精神年齢は高いほうだ。そして、十一にしてはやや上過ぎるくらいに皇眞も高いだろう。
 「やっとやっとここまで大きくしたのに。 ガキに殺(や)られただと!? ふざけんな!!!!!!!! まじでぶっ殺す」
ごたごたと叫んでいる男をさも関係なさそうに皇眞はどこか違うほうを向いていて、淘汰はため息をついた。
―――こいつ、ほんまに初めてなんか? 
早くしろ、と顔が言っている。
「乳クセえガキまでいんじゃねえか!!!! チビのくせに、っ……俺の、賊を!!!!!」
それでもまだ皇眞はどこか違うほうを向いていて、仕舞いにはぐるぐると刀を回し始めている。
 「お前、何してんねん!! 敵サン、お前に怒ってんねんで!!」
「―――…へえ、そう」
さっきは淘汰のからかいに対してあれほど子供みたくむかつく!と怒っていたのに、この変わり様は何なんだろうか。
 大人の叫ぶ罵声に耳も貸さず、どこ吹く風だ。―――聞いていて怒りを覚えるはずなのに、全然といった感じだ。
 
 「お前、……いい性格してるよなあ。 今のこの瞬間にわかったわ。 怖くないんか、あの男」
「―――…怖いの意味が分からないな。 ……怖いが分からないって言ってるだろ」
「そうやったそうやった、ほんまその歳で考えはオジサンやな」
「……おじさんってやっぱお前むかつく。 というか、俺には―――あいつは負け犬の遠吠えにしか聞こえない。それ以外一切の感情も何もない。 あいつに怒りを覚えるなんて自分が馬鹿すぎて笑える。 だからそんなことはあり得ない」
 つまりは、こういうことだ。
 皇眞はもうあの男を見限っている。 自分より弱く下の者だと、そしてきっと自分が見下す汚い部分の人間だと。 だから、何をされても皇眞は感じない。何を言われてでも皇眞は感じない。
 「ほんま、……なんとゆうか」
―――皇眞、……ありえないくらい機械人間やな。
 

 「お前らあああっ。 俺の話を聞けえええええええッ。 聞いてたら、俺を馬鹿にすることしか言ってねえじゃねえかあああっっ」


 頭は怒鳴って刀を振り上げてきた。
 「―――俺、きょーみない。 お前にあいつやる。 俺はあの二刀流を、潰す」
最後の言葉を、皇眞は笑みながら言う。 ただ、単純になぜこんな時に笑えるのかと簡単したのと―――どうすればああなってしまうのだろうか、と思う自分がいた。
「―――サポートはする。 アホな真似はするんやないで!!」
そう言って笑う自分も同類なんだろうが。 皇眞もふっと笑って、腰に帯剣してあった剣をすらりと抜く。
 十一にして、剣の型は慣れたものである。一見、和の刀と西洋の剣では不釣合いのように見えるが結構合っていた。 皇眞は、刀の先を前に向けて構えて、剣を逆手に持ち横に構える。
 最初から皇眞狙いの若い頭の男を、淘汰は剣戟(けんげき)で止めてニヤッと笑った。

 「お前、あいつの邪魔せんといてえな?」

 笑いながら、淘汰は男の顔面目掛けて突きを入れ、それを交わした男の腹へと蹴りを入れた。 倒れこんだ男を容赦なく踏みつけて、グサリと刀を突き刺す。
 ―――やっぱり、俺も同類やなぁ。
 何分もしないで隙を突いて、すぐに命を奪うことができる自分がおぞましくなった。

***

 体格の良い大人の男相手に、小さな皇眞は接戦だった。 淘汰からして見れば、それはかなりすごい。 皇眞の歳で、大の大人と渡り合っていると言うことなのだから。
 「―――…使い方がなってない! 普通剣を二つ持つ時に、その構え方はない!!」
子供特有の高い声で、皇眞はそう言って二本の剣を同時に振り上げて片方の剣を弾き飛ばした。
「なっ……!」
男も驚いたように目を見開く。 だが、一本の剣をそのままにして突いて来た。
 皇眞は先ほどの剣を飛ばしたときに隙が出来ている。
  追いつける、だから大人しく避けて待っとれ!
そう言おうと、
 「皇っ……!」
叫ぼうとしたが、―――皇眞は淘汰なんてまるで眼中になく口角を吊り上げて笑う。
 突いてくる剣をその小さな手で真っ向から受け止めたのだ。何の躊躇もなく剣を離し、脇で掴むように剣を受け入れる。 それには、男も驚いたようだった。 
 ぐさり、と剣は腕に刺さり―――だが、皇眞はしっかり腕と手で脇にその剣を掴んで、そして、その先にある男の腕を容赦なく切り落とした。 そのまま、軽く飛んで刺さった剣を抜いて腕ごとその男へと投げつける。
「う、うあああっ…!!!」



倒れこんだ男の上に宙から刃先を下へと向ける。そうして―――――――――――――ドスッ…と容赦ない音が響いた。
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~ Comment ~

やっと更新です…!

もうもうもう!
課題を終わらせなければならなかったので、パソコンすら開けない毎日が続き軽くストレスになっとりました 笑
よかったです、更新できました。
お待たせしていた方がいましたら、お待たせしました!

番外編の「いつかの誓い」いろいろと暗い部分もありますが、もう少しだけ幼い皇眞と淘汰兄さんのお話にお付き合いくださいね(   ^ ^   )

高宮でした。
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