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「あなたとわたしのこいのはなし。」
Act3.まほろばの姫と暗殺者の恋

1.きみにころされるのをまっていた。

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 雨が降っていて、だれかの足音さえ聞こえなくなるくらいの雷鳴が聞こえる。真っ暗な夜で、――静かなはずの時間は、喧噪にまみれていた。
 ここは、かみさまがいる世界。
 わたしはそのかみさまを祀るための存在。
 かみさまを降ろすためのその力は、――家族たちを変えた。父はその力を無心し、わたしを屋敷に閉じ込めた。足の神経を切られ、鎖へとつながれ――絢爛な自分の部屋だけがわたしの世界になった。

 ないても、くるしんでも、かなしんでも、何も変わらない。

 ただ、わたしの家系が神の家だと崇拝されているらしいと噂で聞いた。

 父はわたしを力でしばり、母はわたしに恐怖した。きょうだいたちは、わたしを姉とは認識せずに、使用人たちはわたしを「かみさま」として見た。この屋敷にいるひとは、わたしの力を目の当たりにしている。わたしを「かみさま」として崇拝しているけれど、父に逆らえば何をされるかわからない。そんな恐怖から、使用人たちはわたしのことを丁重に扱っているのかもしれない。

 自分が何なのか、わからない。

 いつも近くにいるかみさまだけが、わたしをわたしとして見てくれる。

 あぁ、よくわからない。
 一縷だけ残る情だけが、わたしを鎖につなぐ。


 かみさまがいる世界。

 かみさまはいるのに、この世界は理不尽だらけだ。



 異常な力は、――災いを呼ぶ。いいことなど起こらない。実際に、父が外に与える恐怖は計り知れないものだろう。「神」の力を得た一族――馬鹿みたいな噂が、あたりには流れているのだろう。

 知っていた。
 この屋敷にいろいろな者たちが攻撃をしかけてきていること。
 暗殺者が入り込んでいることも。

 そして、それを殺し殺されとしていることも。



 ―――だから、


 はじめて、君に会った日。


 わたしは悟ったんだ。


 君は、わたしを殺しに来たんだと。



 「――――やっと、」



 五年前から、だったか。――わたしつきの世話係になった青年を見つめた。五年間、だれよりもそばにいてくれた。動かないわたしの脚がわりになってくれた。屋敷の中だけだったら移動することができるようになったわたしのそばに、唯一いてくれたひと。
 ひとではないとみんなが恐れるわたしのそばにいてくれた。

 冷たく、それでも優しく、君は不器用に――わたしを護ってくれた。

 周囲の汚い暴言も無視して、それでもそばにいてくれた。周囲から嫌われる暮らしづらいこの屋敷で五年もの間、わたしのそばに。
 君のやさしさが嘘であっても。

 わたしは君のその不器用なやさしさがすきだ。

 君の笑みが嘘であっても。

 わたしは君のその笑った顔がすきだった。




 暗闇でも、わたしの目には彼の顔が見えた。――押し倒されて、羽交い絞めにされる。服がぬれているのは雨ではなく――血。鎖がじゃらりと暴れる音がした。

 「―――――や、っと」

 首が、しまる。


 血だらけの手。


 横に放り出しているクナイ。


 五年間もの間、君はわたしのそばにいてくれた。いたくもないだろうに、わたしのそばで笑ってくれていた。偽りでも優しくしてくれた。
 君のふと見せる素の表情も、苦しげにしている姿も知っていた。
 君の表情のいたるところに、――本当を探して、嘘を探した。月日が経って、そんなものもどうでもよくなった。

 君が、すきになった。


 すきに、なってしまった。


 ―――――――――――――――だから、



 「――リヒト」


 微笑む。


 ゆっくりと力を入れられる首もとに、あぁ、と思った。微かに震えているのは、なぜか。


 ゆるりと、手を伸ばす。


 なぜ、だろう。


 目の前の世話係の目じりから流れるそれは血ではない。


 「なぜ、泣いているの。………殺すんだ。……君が、ずっと殺したかったわたしを」


 微笑む。


 君に、殺されるなら――いい。


 わたしのすきな、ひと。


 ――こんな、醜いうつわでしかないわたしに想われても嫌なだけだろうけれど。



 きみのことをすき、でごめん。
 だから、ころして。


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