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「蓮姫」
第九章 痛刻の変革

痛刻の変革 【壱】

 ←覚悟することも、 →痛刻の変革 【弐】

※流血、シリアス表現入ります。理解した上でスクロールをお願いいたします※









***




 ザアアアアアア……

 雨が降っていて、太陽が沈んでもう何時間も経っている暗い時間だった。

 蓮が嫌な気配を感じて飛び起きたのと同時に、白吹の大きな家内で警告の音が鳴る。白吹の屋敷内を蓮の命令で夜通し見回っていた白吹の刺客と、白吹に使えている兵士たち、椎名の刺客が集まってそして、侵入者との抗戦が勃発していた。
 蓮は、家の者たちにある程度の説明はしたのだ。
 これは彼の最悪の計画だった。―――……次期当主を、命を懸けて護るための。

 ここ何週間の内に必ず侵入者はやってくる、そいつらに一滴の情報も漏らすな。

 そう命令して、まずは使用人たちを護るために慌しい中呼び出した。
 「落ち着け、お前らには地下に行ってもらう。内鍵もあるし、外鍵はかけて壊しておく。―――さあ、できるだけ仲間を呼び寄せてこの中に入れ」
 畳を外したところに地下へと続く開閉式の扉がある。頑丈な厚い扉を開けると地下へと続く階段があって、その奥にも頑丈な扉が待っているのだ。
 慌しくここにいる者たちは入り、兵士でも未来を担う若い者たち、使用人頭と副使用人頭のふたりも押し込み、乳母などの女たちも押し込んだ。
 生きれる者は無駄に死ぬことはない。
 護れる者は護る、それが理念だ。―――“息子”まで継がれるものだ。
 
 「第一関門突破。 敵は多勢で、随分強いと思われます。 半分は滅しました」
「お前らで、半分か良くやった」
そう言いながら蓮はその刺客を引っ張って、大きな地下への扉まで持っていく。
 「え、ちょ、当主!! 俺はまだ戦えま―――うわ!!」
講義しようとしたその刺客を蓮は問答無用で蹴り倒して中に落とした。
「何のために大きく作ったと思ってる。 命ある限り、お前らは当主に仕えるんだ。―――俺より先に死ぬことは許さん。 ここから出たら殺すからな」
「……っ!」
 言うことが矛盾しています!!――部下である彼らにそんなことは言えない。
 強引でぶっきらぼうな優しさが蓮なのだ。 刺客は黙り込んで、設備の整う地下で項垂れた。
 すぐに蓮は引き返すと、できるだけ近くにいた刺客を引っ張って地下へと蹴り落としていく。

 自分のやったことで、皇眞の代の刺客が部下が減ったら、溜まったものではない。

 「旦那様!!! まだ奥様と彩紅様がおりません!!! 寝室に居られないのならば、彩紅様のお部屋かと!!」
地下の中にいるひよりが叫んだ。
「―――っち!」
蓮は舌打ちをしながらすぐに地下へと内鍵を投げる。ひよりがそれを掴んだのを確認すると踵を返した。
「まだ時間はある、第三の関門まで来なければ平気だ。 ここに来た者を護る兵士もいる」
 お前ら、頼んだぞ。
 この部屋にやってきたよく顔の知る兵士たちにそう言うと、蓮はすぐに踵を返した。

 そして、ことあるごとに刺客たちを地下へと脅迫して送還させる。
 まだこれから伸びる若い者たち、ただ単に強いであろう者たち、勇気のある者たち、当主のために動く者たち、全ては自分が使っていいものではない。皇眞にやるべき人材だ。
 「おい、そこの男」
「はっ、当主!!」
「お前、地下に入れ。―――とっとと行かないと殺すぞ」
「え、意味が、待ってくだ―――、うわ!!」
またもや問答無用で斬りかかって、刺客は「わかりました、は、入ります。すいません、すぐ行きます!!」すぐに戦意喪失させ、そう言わせた。
 それができるくらいの力を蓮は有している。
 多くでも、強い刺客を残さなければ。この家のために、次期当主のために。

 
 「甲珠! 珠愛! どちらか来い!!!!!!!!」


 声を張り上げて呼んで、次に背後から来た敵を斬り殺す。

 そして、敵を斬りながら現れた双子の姿は返り血だらけだった。

 「何でしょう、蓮様」
甲珠は、いつもは見せない冷たい表情で言う。 それが戦闘時であることを蓮は知っているため何も言わないで、甲珠に外鍵を投げた。
「できるかぎりの将来有望は刺客を地下へ投げ捨てろ。 それから、外鍵をかけてその鍵を壊せ」
「ですが……出口が」
「皇眞が知っている。―――だから、壊していい」

 外内から鍵をかけてしまえば、どちらかを開けたとしてもどちらかが開かなければ扉は開かない。 
 別の道を皇眞だけは知っている。 この家で、蓮と皇眞しか知らないのだ。だからこそ、最後の砦だし、最後の隠れ家なのだ。
 

 「お前らなら安心だ。―――お前らの主は皇眞だ、俺ではない。 俺の命で死ねと言われても、お前らは死なんだろう。 だから、皇眞を頼む。 ―――お前らだけは何があっても死ぬなよ」


 きっと、最期になるのだから。
 蓮はそう言って返答を待たずに足を進めた。


 ふと、物音がする。
 蓮は眉を寄せながら、襖を乱暴に開けた。
 「おい、餓鬼。 そこで何がやってる」
蓮は片隅で丸くなる刺客の服を着た少年を睨んだ。
「―――ぁ…」
何かに怯えたようなその少年の目。 それで、蓮は大体の事を悟ることが出来る。
―――子供の刺客……、この抗戦に怖気づいたか……。 皇眞は別格として、普通の子供ならあり得る話だ。
「怖気づいたか」
「……俺…は」
「……貴様は敵だ、俺はお前を殺してもいいんだが……その目は、味方に不満を持つ目だな」
「……………」
無言になった少年を蓮は睨んだ。
 「言ってみろ。 それによっては命を助けてやらんでもない」
―――この少年は、……皇眞のために使えるかもしれん……。
睨んでいる蓮に、少年はぐっと歯を食いしばる。 少しだけ目を泳がせながら、覚悟を決めたように蓮の上を向く。
「―――俺はっ…、復讐のために刺客になった。 今いる刺客たちの頭に、その仲間に、家族を皆殺しにされた。 俺は、俺は、……奴らを殺すんだっ……。 だから、こんなのは、違うんだ。 ……理由もないのに、殺したくない。 俺は、あなたを殺したくないっ。俺のやりたいことは奴らへの復讐だ!!」
「……憎悪も恐怖も知ったか」
少年の言葉に蓮は不敵に笑んだ。
「―――憎しみはいつもある。 恐怖は家族が死んだ時、今も……あるけどな」
悠然と語る少年に蓮は面白そうに笑う。
「……気に入った。 ―――お前は生かしてやる、が、条件だ」
「―――」
「餓鬼、名は何だ」
蓮の言葉に、少年は顔を隠している布を取った。 姿を明かしてはいけない刺客にとって、敵に顔を明かすというのは降伏と似たような意味がある。
 今、この瞬間に少年は―――味方を裏切り、蓮についたということだ。それにますます蓮はその少年に興味を持つ。が、数時間後の彼を自分は見れないことを知っている。
「―――――…楓有雅(ふうが)」
「―――楓有雅、これからお前が出会うだろう俺の息子……皇眞の言うことを聞け。 お前が殺されんようにこれをやる」
「な、何を……」
「不思議に思うだろうが、会ってみればお前も分かる。あいつはいっそ馬鹿だと言いたいくらいに不思議な奴だからな」
ちゃり、とピアスを取って蓮はその少年へと渡した。
「お前は、まだ子供だが……その歳でこの抗戦に駆り出されるくらいは強いということだ。 俺の息子は有能だ、そのピアスを見せれば理解する。―――さあ、ここで眠ってもらうぞ」
蓮は不敵に笑むと少年を羽交い絞めにして、暴れる少年の首に薬の入っている注射針を打ち込んだ。
「―――う、あ!!!!」
一瞬目を見張らせたあと、ぐたりとした少年をそのまま放っておく。 首元から針を抜くと、その注射針を懐へとしまいこんで、蓮は踵を返した。


***

 そこから、蓮は―――できるかぎりの敵を一斬りで斬り捨ててふたりの家族のもとへと走る。
 きっと狙うだろう。
 皇眞がいると思って。
 そういう情報を、蓮自身が意図的に流したのだから。
 皇眞はまだ本家にいる。皇宮には帰っていない。―――――と。



 「―――皇眞だけは殺らせん」



 小さく呟いて、蓮は走って行った。

 「雅(みやび)! 彩紅(あやく)! 平気か」
蓮が駆け込んだ時にはもう、二人は敵の腕の中にいた。
「……っ、あなた!!」
「おと……うさま!」
雅姫と彩紅が同時ぐらいに叫んだ。 蓮はまた舌打ちを打つ。 ずらりと、刺客は揃っていた。―――ああ、ただの馬鹿な刺客ではないようだ。 苛つくぐらいの悪知恵の働く、溝鼠のような奴ら。 
 そこの中には、襲ってきた人間のリーダーもいるようで。
 「お前が白吹蓮か」
「―――だとしたら何だ」
「白吹皇眞はこの家にはいないようだな。―――刺客の中でもお前ら二人と時雨の当主は恐れられている。その中の一人を殺せるとあっては絶好のチャンスだろ?」
「目的は何だ」
「白吹蓮の抹殺、白吹皇眞の身柄確保。 他の家族のことは何も言われてないからな、この二人は白吹皇眞を誘き寄せる餌になってもらう」
連れて行け、そのリーダーの男はそう言って彩紅を捕まえていた男二人は消えていく。
 「―――そこの女はこいつの奥方だろう? お前にはこいつを殺すための人質になってもらおうか」
蓮は舌打ちをした。
―――やはり、苛つくぐらいの悪知恵の働く溝鼠のような奴らだな。


 「―――――皇眞」


 誰にも聞こえないくらいの小さな声で、蓮は我が子の名前を呟いた。


 こんなことになって、すまないと思っている。
 こんなことになって、お前を護るつもりがお前を悲しませる結果になっているのだから。
 でも、お前なら、この悲劇を乗り越えられることを信じている。
 お前は俺の子だから、きっとここにいたら命を賭して仲間を救うだろう。俺の子だ、俺に似て、そういう奴に育ってしまったのだから。
 だが、今ここで死んでいい命ではない。
 お前は藍園寺に渡していい命ではないし、東宮に殺されるような命では更々ないのだ。



 お前はきっと泣くだろう。
 お前はやはり、“女”だから。
 いや、〝男〟だとしても泣くのだろうか。
 それでも、お前は強く立派に育った白吹の者だ。俺の――子供だ。 






 「……ふっ…」


 ―――悲劇を乗り越え、強く育て、我が娘。


 蓮は微かに笑うと、血が狂乱する中へと剣を握って飛び掛った。



***




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~ Comment ~

はじまりました~(ネタバレあり)

はい、蓮姫の九章です、はじまりました。
この章はいろいろと起点になります。最終章に向かってまっしぐらです。

この回では新キャラがちゃーんと登場したり、
父様の思いが分かったり、
変化球ですね、いろいろと。

わたしもこんなつもりではありませんでしたw
けれど、話の流れでこういう場面も必要だったのかなと思ってます。

シリアス続きで長い章になってしまいますが、つきあってくださいませ。
この章の次には激甘章がきっとあるはずですw

それでは!
高宮

お父さん・・・!

この章は、いろいろな人の心の内や、ほとばしるような行動を見ることができて好きです。
特にお父様の本音とがんばりが切な過ぎて・・・!
嫌な父親だとおもっていたのに!
考えがあって、ストレートに愛を表現しない。
現実の世界でも、こういうことがあるのだと夢想すると幸せな気持ちになりますね・・・!

こめ返、miikaさんへ!

重たいお話ですが、コメありがとうございます!!

蓮も、白吹のために、皇眞のためにとあえて厳しく皇眞に接してきた面もあって
でもちゃんと愛していました。
愛しているからこその行動でしたし、素直に言えない不器用さも
皇眞に似ているなー、と悲しくなります。
余談?ですが、高宮はそんな父が好きです←笑

長い章ですが、お付き合いくださいませー!!
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